ベトナム相手に1-0、シュート数はかろうじて10本という辛勝では、お世辞にも高い評価など出来ない試合だったのは間違いないが、本番のタジキスタン戦を4日後に控えつつ、サブ組の選手を積極的に使いながらという状況を考えれば、必ずしも最悪というわけでは無かったように思う。

何より、90分後であっても今さっき試合が始まったかのようにカバーリングのスピードが衰えないベトナムのスタミナ、集中力は素晴らしく、その上でドイツ仕込みの組織力を発揮して、日本に対して何度もオフサイドトラップの罠にかけた実力には脱帽するしか無い。

北朝鮮戦でも書いたことではあるが、欧州に対する日本のアドバンテージであるアジリティやスタミナは、逆に東アジアが相手だとベストコンディションに無い日本にとってはディスアドバンテージとなってしまうわけで、それがこのベトナム戦でも如実に出てしまったと言える。

そして、欧州と東アジアでは高さやフィジカルという点でのアドバンテージが逆転するのだが、槙野の怪我でハーフナー・マイクが使えず、長友は良かったが駒野のクロス精度がさっぱりで、高さを使った攻撃がどうかという検証をする前に試合のほうが終わってしまった。

そんなエクスキューズだらけの試合ではあったが、個人的にはベトナムのような相手に対しては3-4-3は意外といけるんじゃないかという感触を持った。

駒野が全然WBじゃなくてSB的なポジションを取ってしまっていたり、CBの両サイドが押し上げてサイドをサポートする動きはまだ全然足らないけれども、やはり最初からWBが高い位置取りをしている事でベトナムの守備がサイドに引っ張られて中にスペースが出来る効果ははっきり出ていて、遠藤のような縦にパスを出せる選手がいなくても、まずはサイドで基点を作れるという面で、メリットは少なくないように思った。

ただ、前半の得点につながった藤本のプレイのように、3-4-3であればもっとサイドで積極的に仕掛けて行かないと、ポジションチェンジがしにくいフォーメーションだけに単調さが目立ってしまう。後半から出場した原口がキレのあるドリブルを見せていたが、前半の香川の位置に彼がいたらどうなるかを見てみたかったね。つーか、3-4-3がどうこうよりも一番心配なのが香川の状態なんだよね(苦笑)。

もともと、ドイツではアジリティと決定力で勝負していた選手なのに、超素早いベトナム相手に勝ち目のない足を止めてからのドリブル勝負を挑んているし、シュートよりもパスを選択してなおかつそこからの動き直しが少ない。要は、あまりに余裕が無さ過ぎて視野狭窄に陥っているのではないかと思う。

現在の日本は本田と香川が得点源として突出しているだけに、どちらも欠けてしまうと相当苦しくなるのは当然である。何とか得点を決めて浮上のきっかけを掴んで欲しいのだが・・・