女子W杯が始まっているね。日本は初戦のニュージーランド戦に2−1で勝利した。僕もツイッターを通じた実況に参加したが、そこでの反応を見る限り、日本国内での注目度も高まっているようだ。

今日行われるメキシコ戦に勝てば、グループ通過が決まる。1位突破に大きく近づくことになり、そうすればドイツと当たる可能性が少なくなる。これは大きいね。ただ、メキシコとイングランドは初戦で引き分けたため、この2戦目にかける意気込みは相当なものだろう。メキシコはニュージーランドほどフィジカルが強くないけど、テクニックレベルは高い。楽な試合にはならないだろうね。

日本の女子サッカーを取り巻く環境は、決して良くない。というか、劣悪である。彼女たちの中には、アルバイトをして生計を立てている選手もいるし、金銭面の待遇は男子と比べものにならない。

折からの不況の余波で、チーム数も減少の一途を辿っている。“勝たないとチームがなくなってしまう”という、まさにデッド・オア・アライブの厳しい状況の中、彼女たちはサッカーに打ち込み、そして北京五輪ではベスト4に入るなど、結果を残してきた。つまり、結果を残すことで周囲を納得させ、結果を残すことで女子サッカーの火をつないできたんだ。

そうした彼女たちのひたむきな姿勢は、今回の試合を通しても伝わってくるね。ハングリー精神が、チームからみなぎっている。

同時に、もっと我々の側がサポートしていかなければいけないと痛感する。北京五輪が終わった後、当時の犬飼会長は、すべてのJリーグクラブに女子チームを、と提案していた。今となってはどこかへ飛んでしまった話だね。そればかりか、東電のチームはなくなるし、名門のベレーザもかなり苦しい状態にあるという。状況は悪化しているよ。

男子同様に、女子選手の海外移籍も目立つようになってきた。プレーヤーとして飛躍するための移籍、という理由がある一方、国内に魅力がなく、出るしかないという事情もある。かつては日本に有名外国人選手がこぞって来日したものだ。今はその逆だよ。これは男子も一緒だね。

国内で華やかなリーグ戦を再び行うために、女子サッカー人気が盛り上がり、日本のサッカー文化が成長するために。情けない話だけど、今回もまた、“結果で周囲を納得させる”という彼女たちの奮起に期待するほかない。ぜひメダルを取ってもらいたいね。