■　シュツットガルト移籍が決定

アジアカップの日本代表で清水エスパルスのFW岡崎慎司のシュツットガルトへの移籍が決定し、すでに練習にも参加している。さっそく、今週の土曜日に行われるホームのニュルンベルク戦でデビューするのではないか？という報道もされており、またしてもブンデスリーガに日本人選手がデビューすることになりそうな状況である。

現所属の選手では、MF長谷部、MF香川、DF内田、DF槙野、MF細貝(=2部のアウクスブルクにレンタル中)に次いで6人目のブンデス1部リーグの日本人となったが、ちょっと気になるのは、清水エスパルスから正式な移籍のリリースが出ていないことであり、移籍金の話でシュツットガルトと揉めているという報道もあった。すでにチームに合流しているので移籍が取り消されることはないと思われるが、円満な移籍にはなっていないようである。

■　シュツットガルトというチーム

移籍先のシュツットガルトであるが、2006-2007シーズンが優勝、2007-2008シーズンが6位、2008-2009シーズンが3位、2009-2010シーズンが6位と、リーグでも強豪チームの1つであるが、今シーズンはまさかの大不振に陥っており、現在のところ5勝12敗4分けで17位と下から2番目の成績で降格の危機にある。

37得点39失点ということで、得失点差は±2。なぜ、これだけ負けが先行しているのか不思議なほどであるが、 ボルシアMG戦で7対0、ブレーメン戦で6対0と大勝しており、これがいびつな得失点差を生んでいる。得点数はリーグ5位で、攻撃力はリーグでも上位クラス。ドイツ代表経験のあるFWカカウらタレントもいる。順位は低いとはいえ、チームメイトは代表クラスの選手が多く、個々のレベルは高いチームといえる。

■　ドイツで活躍できるのか？?

となると、FW岡崎がドイツで活躍できるかが注目されるが、こればかりはやってみないと分からないというのが本音である。チームとして点が取れていないわけではなく、レベルの高い選手もそろっているので、ポジションはどこになるか分からないが、FW岡崎もそう簡単に出場機会は巡ってこないと思われる。まずは練習でアピールして、チャンスをつかんでほしいところである。

また、ボルシア・ドルトムントのMF香川が前半戦のリーグのMVPとなって、DF内田もシャルケでレギュラーポジションをつかんでいることもあって、「ブンデスは日本人にとってそれほど難しいリーグではない。」という意見も出ているが、チーム内のゴタゴタがあったにせよ、日本代表のMF長谷部はヴォルフスブルクでレギュラーポジションを確保しているとは言い難い状況であり、フライブルクのFW矢野貴章も出場機会に恵まれておらず、今シーズン、ゴールはない。2008-2009年シーズンには、FW大久保嘉人もチャレンジしたが、半年間でノーゴールに終わっている。MF香川やDF内田の活躍の陰に隠れているが、ブンデスリーガの日本人選手も、全員がうまくいっているわけではない。

過去、日本人フォワードの成功例が少ないということも「成功する」と断言できない理由の1つである。2000年に入ってから、バジャドリッドのFW城彰二を始め、多くの日本代表のストライカーが海外リーグにチャレンジしたものの、期待通りの結果を残した選手はほとんどいない。J1でMVPと得点王に輝いたFW高原でもドイツでは苦労する時期が長かった。

■　ドイツで活躍できるのか？?

成功例があるMFの海外移籍に比べるとどうしても悲観的になってしまうが、ポジティブに考えられる要素もある。

まず、FW岡崎という選手は適応能力が非常に高い選手であるという点である。北京五輪代表チームでも、A代表でも、他の選手と比べるとスムーズにチームに溶け込めており、自分の良さを早い段階から出すことが出来ていた。独りで局面を打開できるような選手ではないので、コンビネーションが重要となるが、この点では不安は少ない。

また、運動量が豊富で献身的なプレースタイルなので、ゴール以外でも貢献できそうな点もプラスに働く可能性がある。ポジションも、フォワードだけでなく、サイドハーフでも問題なくこなすことが出来るので、監督としてはありがたい存在である。

とにかく、日本人フォワードはブンデスリーガでシーズン11ゴールを記録したFW高原を除くと「成功例がない。」といっても過言ではない状況である。FW岡崎は、今の日本人フォワードでは、FW前田やFW佐藤寿と並ぶ存在であり、彼の挑戦がうまくいかないと、そのあとに続くはずの選手にも影響を与えることが考えられる。反対にFW岡崎の挑戦がうまくいくようだと、さらに日本人選手のブンデスリーガへの移籍が加速するだろう。

シュツットガルトの順位を考えると、1試合たりとも無駄にできない状況であり、プレッシャーもかかると思われるが、何とか、はねのけて欲しいところ。早い時期でのブンデス初ゴールを望みたい。

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