マンチェスター・シティDFナイジェル・デ・ヨングがニューカッスルMFハテム・ベン・アルファを骨折させた問題は、フランスで法的問題となるようだ。ベン・アルファの所有権を持つマルセイユが、デ・ヨングを訴えることを決めたのである。

これまで、デ・ヨングのタックルについてはメディア上で話題となっていただけだった。フランスのメディアは、デ・ヨングを2006年ワールドカップでジネディーヌ・ジダン氏の頭突きを誘発したイタリア代表(当時)DFマルコ・マテラッツィにたとえていた。『カナル・プリュス』のコメンテーターで、かつてミランやパリ・サンジェルマン、モナコでプレーしたマルコ・シモーネ氏も、デ・ヨングはベン・アルファが戦列を離れる期間、つまり6カ月の出場停止にすべきだと訴えている。

そして10日、沈黙を保っていたマルセイユは、ジャン=クロード・ダシエ会長が「デ・ヨングを訴える。こういうことを取り除くべきときが来たんだ」と介入を決意。弁護士たちがクラブの利益を守るべく、損害の度合いを計算し始めているという。マルセイユはニューカッスルにベン・アルファをレンタル移籍させた際、600万ユーロ(約6億9000万円)の完全移籍をオプションとしているが、条件には25試合出場することが含まれており、6カ月の戦線離脱となったベン・アルファがこの数字を達成するのは難しい。

ベンチ生活に終わった昨シーズンからのリベンジを目指していたベン・アルファは、「バッドボーイ」から「犠牲者」となった。ニューカッスルへのレンタル移籍を決めるため、8月にはマルセイユのダシエ会長やディディエ・デシャン監督を罵倒し、練習をボイコットしていたベン・アルファだが、このことは関係していないようだ。

デ・ヨング自身はすでに、間接的ながら代償を払っている。オランダ代表のベルト・ファン・マルヴァイク監督が、EURO12予選を戦う代表チームから彼を外したからである。一方で、ニューカッスルはFA(イングランドサッカー協会)に対し、デ・ヨングに処分を科すよう求めた。

FIFAは審判たちに対し、こういったケースにおいてより厳しくジャッジするよう呼びかけている。デ・ヨングのタックルに主審はファウルを吹くこともなかった。そしてデ・ヨングは、これまでのキャリアで1度しか退場になっていない。