13日、都内で「楽天オークション」の開設を発表する三木谷社長(撮影:吉川忠行)

写真拡大 (全2枚)

楽天<4755>とNTTドコモ<9437>が共同出資する楽天オークション(東京都港区、平尾勇司社長)は13日、個人情報を開示せずにユーザー間で取引ができるネット競売サイト「楽天オークション(楽オク)」のPC版を同日、iモード版を20日にそれぞれ開設すると発表した。

 同サイトでは、ネットでの競売の際にこれまで必要だった出品者と落札者の間での直接連絡は不要で、住所・氏名・口座番号を開示せずに取引が可能。出品者は発送する商品に落札者のユーザーIDと都道府県名を記入するだけで、配送を請け負う日本郵政公社が落札者の自宅に届ける。

 また、「商品を送ったのに落札者から入金されない」、「落札した商品と手元に送られてきた物が違う」などトラブルの要因となる事態を事前に防ぐ仕組みを導入。出品者は、落札者が三井住友銀行<8316>の専用口座に支払いしたという通知を受けた後に、商品発送できる。また、落札者が商品を受領、確認した後、三井住友銀行の専用口座から出品者の個人口座に代金が振り込まれる。

 同社によると、iモードで個人間の取引サイトが設置されるのは初めて。出品手数料はPC版で落札額の3%、iモード版では無料。配送手数料は郵便小包「ゆうパック」代金に150円が上乗せされる。

 野村総合研究所の調査では、2006年度で1兆6200億円とされる個人間ネット競売の市場規模は、2010年度で2兆8000億円になる見通しとしている。98年から楽天が運営してきた旧競売サイトは、現在、ヤフー<4689>「Yahoo!オークション」、ディー・エヌ・エー<2432>「ビッターズ」に次ぐ業界3位で、同社では「控えめな数字」(三木谷社長)として2010年までに流通総額4000億円、ユーザー1500万人、出品数1000万品を目標に掲げている。

 同日、東京都港区のコンラッド東京で開いた記者会見で、楽天の三木谷浩史社長は「立ち遅れていた競売サイトをこれを機に徹底的に強化していきたい」と話し、楽天の各サイトの閲覧件数増加など相乗効果に期待を示した。

 楽天オークション社の非常勤役員も兼任するNTTドコモの夏野剛執行役員は「番号ポータビリティ制度導入後は競争力を強化していかないと今までのシェアを守れない」と強調し、「攻めの姿勢として掲げた『端末にも、コンテンツにも死角なし』の最終兵器として、一気に普及させていきたい」と楽天とのシナジーを歓迎した。また、会場が競合のソフトバンク<9984>本社に隣接するホテルとなったことについて「意図的に選んだわけではなく、たまたま」と話し、沸かせる場面もあった。【了】

■関連リンク
楽天オークション