【ソウル=名村隆寛】2月末の米朝首脳再会談が物別れに終わったにも関わらず、韓国政府は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の訪韓などによる朝鮮半島情勢の好転を期待している。

 韓国の外務省と統一省は今週、今年の業務計画報告を発表した。外務省は米朝首脳再会談を「合意には至らなかったが、非核化をめぐり生産的な議論がなされ理解が高まった」と評価。「今後の交渉と金正恩委員長のソウル訪問などで、完全な非核化と恒久的平和定着の画期的な進展が期待される」と強調した。

 さらに「米朝の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対する揺るがぬ信頼を基に主導的役割を担う」とし、米朝対話再開を後押しする考えも示した。

 また、統一省の報告では「南北対話で米朝対話を促進する」「(対北経済協力事業の)開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)観光の再開に備えていく」としている。

 両省は米朝首脳会談の直前に大統領府に業務の書面報告をしたが、今回発表の報告で外務省は米朝首脳会談の評価などを加えた。ただ、統一省の報告には米朝首脳会談の決裂は反映されず、事前報告をほとんど修正していない。

 対北制裁緩和に国際的に否定的な見方が強まる中、相変わらず韓国だけが米朝の“仲介者”を自任し、南北協力事業の再開や朝鮮半島和平を展望している。

 これに前後し、保守系最大野党「自由韓国党」の羅卿●(=王へんに援の旧字体のつくり)(ナ・ギョンウォン)院内代表は12日の国会演説で「文大統領が金正恩氏の『首席報道官』と呼ばれている」と発言。羅氏は「(こんな)恥ずかしい話を聞かなくてすむようにしてほしい」と訴えた。

 羅氏は「海外メディアの報道内容だ」と付け加えたが、議場は騒然となり、周囲ではもみ合いも起きた。大統領府は「国家元首だけでなく朝鮮半島の平和を願う国民への冒涜(ぼうとく)だ」と強く反発し、羅氏に謝罪を要求。与党「共に民主党」は「国家元首冒涜罪に相当する。国会倫理委員会で審議する」と激怒している。

 一方、ネット上には「よく言った。久々にすっきりした」との意見が出るなど、羅氏を称賛する声も多い。