「いきなりステーキ」を主軸とする外食チェーン、ペッパーフードサービスの株価が低迷飛行状態に陥っている。株価は何を発信しているのか。今年の株価動向は3月26日の4,340円から5月15日の6,580円(年初来高値)まで約52%上昇。以降、上下動を繰り返しながらも総じて右肩下がりの展開。10月26日の2,891円(年初来安値)まで水準を下げ、本稿作成中の時価は3,500円台出入り水準。

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 株価は企業(収益)の通信簿、とされる。前12月期の「62.2%増収、139.8%営業増益、132.6%最終増益」を受け今期も、「73.7%の増収(629億3,200万円)、75.5%の営業増益(40億3,300万円)、88.5%の最終増益(25億1,100万円)」計画で立ち上がった。そして開示済みの至第3四半期実績の通期見通しに対する伸長率はそれぞれ「72%弱、60%弱、46%強」。そもそも下期偏重型の収益体系。が、前期の通期計画に対する1-9月期実績の進捗率は「75%弱、77%強、76%強」。いかんとも見劣りがする。

 最新号の会社四季報の同社の業績欄の見出しは【費用増】。国内出店200(前期71)を収益低迷の要因と指摘、独自に例えば今期営業利益を32億円と予想している。確かに11月30日に秋田市の出店で全都道府県に「いきなりステーキ」は配置された。多店舗出店に伴う負担増が分からぬわけではない。だが果たしてそれだけだろうか。

 小売業の好不調を見極める上で大事な指標に「既存店売上高推移」がある。1年半以上営業を続けている店舗の前年比動向だ。「いきなりステーキ」は4月以降、前年比割れ状態が発現している。1-10月末段階で前年比平均-3.2%。アナリストは「5月16日の値上げ(1g当たり10円を11円に)が響いている」とする。確かに値上げで300gのリブロースステーキは2,070円になった。飲み物の一杯も付け加えると経験則とされる「外食チェーンの客単価は1人2,000円が限界」を大幅に超えてしまう。

 10月に米国ナスダック市場に上場。海外展開の拡充を積極化しようという同社の姿勢に水を差すつもりは毛頭ない。しかし経験則を逸脱し、今期計画未達という事態になれば「いきなりステーキが曲がり角を迎えた」と評されることは避けがたいのも事実であろう。