自動運転技術でトップを走るテスラですが、CEOのイーロン・マスクの「スマホでテスラ車を遠隔操作できるアップデートを6週間後に提供する」とのツイートが大きな話題となっています。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアの中島聡さんが、競合他社にとってテスラが脅威である理由を明示。さらにアップデートのプロセスすらエンターテイメントにしてしまう同社のスピード感やカルチャーを高く評価しています。

私の目に止まった記事

● Elon Musk says Tesla owners will be able to drive their cars with their phones in about 6 weeks

つい先日、ようやく本当の意味での自動運転機能をアップデートで提供してくれたテスラですが、それに続いて、Summonの機能をさらに強化して、スマートフォンをリモコンのように使ってテスラを遠隔操縦したり、駐車場で「ここまで迎えに来い」と命令できるなどを可能にするアップデートを6週間後に提供するとイーロン・マスクがツイートしたため、それが話題を呼んでいます。

テスラが他の自動車メーカーにとって脅威なのは、こんな機能を数週間ごとに提供してくるというスピード感は圧倒的だし、それをCEOがリリース前にツイートで予告してしまうカルチャーです。

普通の自動車メーカーは、基本的に機能アップは2年ごとのモデルチェンジでしか行わないし、どうしても必要なアップデートは、ディーラーにお金が落ちる形でしか出来ないというジレンマを抱えています。

私は2年ほど前に、「テスラは他の自動車メーカーの2〜3年先を走っている」と指摘しましたが、その差が縮まったとは思えないし、これからも縮まるとは思えない理由は、こんなところにあります。

2016年末に購入した私のモデル Xは、いまだに進化を続けており、どのメーカーの2018年モデルよりも進んだ自動運転機能を持っています。

イーロン・マスクは、2016年末以降に発売されたHW2を搭載したモデルに関しては、レベル4の自動運転機能を提供すると宣言しており、万が一ハードウェア機能が不十分だった場合には、ハードウェアのアップデートも無償ですると約束しています。

本当の意味でのレベル4の実現までには、まだしばらくはかかると思いますが、このように少しづつアップデートを提供してもらうのも、そのプロセスそのものがエンターテイメントです。

私の目に止まった記事2

● Tesla is the Apple of cars, and it’s on the verge of a golden age

テスラの株に大きく投資しているARK Investmentによるテスラの評価です。

ARK Investmentによると、テスラは、(自動運転に必要な)AIチップ、(電気自動車の要である)バッテリーのコスト削減、(自動運転向けの機械学習に欠かせない)道路データの3点において、競合企業の3年先を走っており、まさにiPhoneをリリースしたばかりのアップルのような立場にあると指摘します。

EV(電気自動車)マーケットにおけるテスラのシェアは、現在87%という高さで、この数字は、今後減っていくことは当然ですが、5年後にEVのマーケットが巨大になった時に、悪くて10%、良ければ30%のマーケットシェアを持っているだろうとARK Investmentは予想しています。

ちなみに、台数ベースでは、米国で5番目に売れている車になりましたが、金額ベースでは、トヨタのカローラを超えて既に1位だそうです。

● What Truly Makes a Senior Developer

「真のシニア・ディベロッパーであるためには」という目を引くタイトルはちょっと困りものですが、内容には概ね同意するので紹介します。

ソフトウェア・プロジェクトには問題はつきものなので、とにかくさざまなな形で安全策を施すことにより、「締め切りに間に合わない」「致命的なバグを見逃してしまう」などを、設計や段取りで回避するのが「頼れる」エンジニアです。

image by: Flickr

対談イベント情報

Invent or Die -未来の設計者たちへ 3: 中島聡×松本徹三

ジャパン・リンク代表取締役社長、ソフトバンクのシニア・アドバイザー松本徹三氏と中島聡さんの対談イベントが開催されます。

日程:11月20日(火)

時間:19時00分〜22時00分(受付開始:18時30分)

場所:サイボウズ東京オフィス カンファレンスルーム(東京日本橋タワー 27階)

住所:東京都中央区日本橋2-7-1

主催:一般社団法人シンギュラリティ・ソサエティ

● 詳細、お申し込みはコチラをクリック

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