HTC、従業員1500人を解雇へ  スマホ不振、VR低迷続き/台湾

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(台北 3日 中央社)スマートフォン(スマホ)大手の宏達国際電子(HTC)は2日、台湾の製造部門の従業員1500人を今年9月までに解雇すると発表した。今年6月時点で同社に在籍する従業員は約6450人。全従業員の約23%が解雇される計算になる。背景には競争激化によるスマホ事業の不振やVR(仮想現実)事業の低迷があるとみられる。経営方針の転換による立て直しを急ぐ。

同社は1997年創業。受託製造事業で頭角を現し、2006年に自社ブランド「HTC」を設立。2008年には米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のスマホを世界で初めて世に送り出した。全盛期には年間売上高が2000億台湾元(約7300億円)を超えたこともあったが、近年は苦戦を強いられている。

2013年、上場以来初の赤字を計上。VR事業への参入を決めたものの、売れ行きは思わしくない状態が続いている。2015年には従業員約2900人の解雇に踏み切り、昨年にはグーグルのスマホ「Pixel」開発チームとHTCが保有する携帯電話の特許をグーグルに売却。それによって得た利益で今年第1四半期には11四半期連続赤字を食い止めた。だが、昨年の年間売上高は621億元(約2250億円)にとどまり、本業は不振にあえいだままだ。

HTCは今回の人員削減について、「組織の最適化を図るため」などと説明。同社はVRのほかに、AR(拡張現実)やAI(人工知能)、5G(第5世代移動通信システム)、ブロックチェーン(分散型台帳)への投資も始めており、復活を遂げられるかに注目が集まっている。

(江明晏/編集:楊千慧)