「志願者数が多い大学」TOP10

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5年連続で志願者数日本一となった近畿大学。24時間開館の自習室や、テーマ別にコミックと本が一緒に置かれている図書館がある新校舎「アカデミックシアター」(写真)を開設。こうした新しい取り組みも評価されている (撮影:尾形文繁)

今年の一般入試では、昨年と同じく私立大学の志願者が激増した。高校卒業生が1万4000人減っているにもかかわらず、昨年よりおよそ7%も志願者が増えた。


これで12年連続の増加だ。国公立大学が昨年に比べ志願者が1.1%減り、7年連続減少となっているのとは対照的な結果となった。

私立大人気の理由は2つある。1つ目は文部科学省が地方創生の一環として、大都市圏の大規模大学の入学者を、2016年から定員に近づけるよう漸減させていることだ。

入学者を減らすことは、合格者を減らすことにつながる。昨年も私立大は大人気で志願者が増えたところが多かったが、合格者も減ったことによって倍率がアップした。

今年も同じことが起こると見越し、受験生は併願校を増やした。特にセンター試験利用入試が10%の志願者増で併願に活用された。センター試験の志願者は1.2%増えたが、国公立大志願者は減っており、私立大型の受験生が多く受けたとみられる。

大規模大学の定員厳格化で併願が増加

また2つ目の理由としては、今年も“文高理低”の学部志望動向となったことだ。文系学部は私立大に数多く設置されているため、人気に拍車をかけた。その中で人気だった学部は、表のようになった。

トップは獣医だ。世間では物議を醸しているが、52年ぶりに獣医学部が岡山理科大学に新設されたことで志願者が増えた。

”52年ぶりの新設学部効果”で獣医学部が増加率トップ

2位は心理だ。もともと人気があったが、公認心理師の初の国家資格ができ、今年から試験が行われることが大きい。3位は社会福祉で、以下、観光、社会、経営の順だ。獣医を除き、上位には文系学部が並ぶ。


志願者トップは5年連続で近畿大だ。しかも6年連続で志願者が増えている。志願者数は15万人超である。これは1992年の早稲田大以来、26年ぶりのことになる。18歳人口で比較すると、そのときに比べて、今年は4割以上減っている。

入試の多様化によって、当時よりも受験機会が増え、延べ志願者が増えているとみられる。近畿大はキャンパスの再開発を行い、昨年は、5棟からなる新校舎のアカデミックシアターが竣工した。24時間開館の自習室、テーマ別にコミックと本が一緒に置かれている図書館など、趣向を凝らした校舎だ。それだけでなく、改革力の高さと広報力の高さには、定評がある。

2位は昨年に続き法政大、以下、明治大早稲田大東洋大日本大と続き、ここまでが11万人超えである。

最も志願者が増えたのは東洋大で1万4261人増。次に増えたのが中央大で1万4153人増だった。一方、国公立大の志願者トップは、74位の千葉大で、唯一の1万人超えだ。公立大トップは95位の大阪府立大だった。

今年も合格者を減らした私立大が多かった。東洋大と法政大が3000人以上、早稲田大、明治大、青山学院大でも1000人以上減らした。この結果を受けて、来年入試でも、併願校数を増やす受験生は多くなる。少子化が続く中、難関私立大の入試は、まだまだ厳しそうだ。

ランキングは「週刊東洋経済臨時増刊 本当に強い大学2018」に掲載しているもので、3月31日時点で志願者数が判明している大学を対象としています。