ハイチ監督、日本の問題点を指摘 改善のヒントは中村俊輔が語る「遅攻のアグレッシブさ」

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奇しくもハリル監督と同じく“ポゼッションと試合結果の関連性”を否定

 ハイチ代表のマルク・コラ監督は、日本代表と3-3で引き分けた10日の国際親善試合後の記者会見で、結果について「私は満足」とコメント。

 そして、フランス人指揮官は「試合はボールを支配したから勝つものではないと証明した」と、奇しくもバヒド・ハリルホジッチ監督と同じくポゼッションと試合結果の関連性を否定した。

 ハリル監督はこの10月シリーズに臨むメンバー発表会見に臨むにあたり、その24人を発表する前に時間を取ってポゼッションについて力説した。パリ・サンジェルマンが3-0でバイエルン・ミュンヘンを下したゲームを例にとり、「ボールを持つことがポゼッションですが、相手よりボールを持ったからといって勝てるとは限りません。ですから、ポゼッションが高ければ勝てるというのは真実ではない」と語っていた。

 その言葉は、このハイチ戦で全く裏返しのものとして日本代表に襲い掛かることになった。試合を通してボールを支配した日本だったが、最終的なスコアは同点に終わった。コラ監督が「最初の20分まではプレーしていない、観客のような状況で、選手もそれを理解して盛り返そうとしたが、すでに2失点して難しい状況だった」と話したように、日本はその時間帯に2点を奪い、優位にゲームを進めた。

中村が磐田での試合後に語った“遅攻”

 しかし、その後に効率良く得点を重ねたのはハイチだった。コラ監督は「我々は日本の3分の1ほどのチャンスしかなかったが、この結果は我々に決定力があったことの証明である」と胸を張った。そして、「試合はボールを支配したから勝つものではないと証明した」と、ハリル監督の“講義”と全く同じコメントを残した。

 もちろん、ポゼッションには相手の攻撃機会を削るという効果もあり、その全てが無意味であるということにはならないだろう。しかし、元日本代表MF中村俊輔がジュビロ磐田での試合後に「遅攻にも、遅攻のアグレッシブさというものがある」と話していたように、ただボールを持っているだけのポゼッションになっては仕方がない。この日の日本代表は、その意味合いの薄いポゼッションに時間を費やしてしまった感が否めないが、中村の言葉に改善のヒントがあると言える。

 来年6月のワールドカップ本大会を考えれば、日本が当然のようにボールを支配するという対戦相手との力関係は考えづらい。しかし、相手が1点リードしたような場面となれば話は別だ。日本がボールを持たされて、虎視眈々と逆襲を狙われるという展開は十分に考えられる。

日本について「大きな原因は…」

 コラ監督は「特に日本に大きな原因はないと思う。日本は正しい道を歩んでいる。チャンスが多ければゴールも入る。日本は6、7点入っていてもおかしくなかったが、我々は3点が精いっぱいだった。日本は3点以上を取ることができなかったが、そんなに心配することではないのではないか。日本がワールドカップに出場する時は、最初にサポーターになりたいと思う」と、日本への“アドバイス”とも言えるコメントはやんわりと拒否した。

 しかし、ハリル監督自らが問題提起しながらピッチ上に横たわったポゼッション問題は、日本サッカー界全体のテーマとして残り続けている。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images