先日開催のNMB48「ここにだって天使はいる」リバイバル公演初日は、多くの嬉しい発表がもたらされた。中でも約3年ぶりとなる3rdアルバム『難波愛〜今、思うこと〜』は、激動の時を乗り越えた新たなNMB48のスタートを告げる1枚になるはずだろう。その新たな武器のリードとなる新曲『まさかシンガポール』のセンターを務めるのは白間美瑠。白間にとって初の単独センター曲だ。そして、その『難波愛〜今、思うこと〜』では、白間だけが単独でのソロジャケットを獲得した。

この日、初披露となった『まさかシンガポール』。山本彩らを従え、モーゼのごとく颯爽とど真ん中を渡る白間の姿に、おぉっ!の大歓声が沸いた。笑みを絶やさず、可愛らしく、カッコよく、歌い踊る。これぞアイドル!な立ち振る舞いを見せた。この姿には胸躍ると共に、感慨深くなった人は多かっただろう。ついにあの白間美瑠が、NMB48を文字通り牽引する立場になったのだ、と。

7年前の2010年9月、NMB48第一期生として活動をスタートさせた白間。やんちゃで甘えん坊、そして自他共に認める「NMB48一の泣き虫」。天真爛漫な性格もあり、年上メンバーはもちろん、年下、後輩にも可愛がられる、末っ子キャラである。愛らしさと純粋さを持ち合わせ、初期から次代のNMB48を担う存在として注目され続けてきた。

しかし、素の面とは裏腹にアイドルとしての自分に「自信がない」という弱音も同時に吐き続けてきた。表での明るくキラキラした姿とは裏腹に、楽屋では鏡に映る自分の顔を見て「ブサイクや!」と大泣きしていたと吉田朱里との「TEPPENラジオ」で語り、成長しきれない自分に涙する度に、敬愛する渡辺美優紀に「自信をもっと持って」とエールをかけられたことも。「人前に立つのが苦手」とも語り、目立つ場面がくるとスッと引き、上手く自分を魅せられない場面が散見されたことも。人気、実力、共に日を増すごとに高まっていく、しかしあと一歩が踏み出せない日々が続いた。

ファンも「末っ子」のままでいくのか?と心配をしていたが、白間はこの1年で見違えるように心身が共に変化した。昨年の渡辺の卒業が大きなキッカケとなったのは間違いない。

渡辺美優紀の最後となったコンサートで、白間はこれからのことについて問われると、涙ながらに「みるきーが卒業する今、NMB48のセンターを狙っていきたい。センターは誰にも譲りたくない!」と豪語。あの、引っ込み思案で甘えん坊な白間が、大舞台で勇気を振り絞り、多くを語らなかった自らの気持ちを口にした。しかも、変りゆくNMB48を自らが先頭を切って引っ張っていくと。

この発言以降、白間は自らに火をつけた。パフォーマンス、握手、ファンに向けての発信…センターに立つに相応しくあるべく、全てのことに努力を重ねた。時に「山本彩と同じでなければいけないのか?」と悩むものの、後ろ向きな発言もなくなった。天真爛漫さはそのままに、ストイックなまでに間違いなく心身共に、NMB48を背負うに相応しいメンバーへと成長していたのだ。白間の誕生日の際にTwitter上に送られたメンバーからのおめでとうメッセージには、愛と共に尊敬を込めた言葉が多く贈られたことを見れば、白間がいかにこの1年で大きく成長を遂げたことかがよくわかる。太田夢莉は、とある取材で「(白間を)単独でセンターに立っている姿が見たい。人気の面でもパフォーマンスの面でも誰も文句が言えない」と語るほどだ。

昨年末の紅白歌合戦選抜では、15位にランクイン。その人気、勢いを裏付ける結果を残した。そして6月17日に開催された総選挙では、12位という昨年の24位から大ジャンプアップ。しかもただの大ジャンプアップだけではない、その年のNMB48最高位を記録したのだ。目標としていた神7にまでは手が届かず「くやしろま」な気持ちもあっただろうが、デビュー当時「絶対入らへんやろな」という気持ちを抱いた憧れの選抜の領域に、自ら足を踏み入れた(しかも山本、渡辺が初めて選抜入りを果たした年齢で初の選抜入り。さらに憧れの存在・渡辺が記録した最高位に並んだ)。

壇上では涙を一滴も零すことなく笑顔を見せ、「同年代のメンバーや先輩方にどんどん噛み付いていきたい」と語り、Twitterでも「まだまだまだ!!上にいきたい。上にいきます。頑張ります!」と、「てっぺんとったんで!」宣言が飛び出した。「こんなに人って変れるんですね、こんなに自分に自信が持てるなんて」としみじみと総選挙後のSHOWROOMにて語った。ここでも、「さや姉より忙しくなる!」と、力強く語っている。自らがこれからのNMB48の顔として引っ張っていくんだ、という自負が言葉の端々から溢れている。そして27日に戻る『まさかシンガポール』での白間の堂々たる姿には、NMB48が迎えるだろう明るい未来の光景が垣間見えた。特に公開されたばかりのMVでは、山本彩からの「ゴールデンマイク」を受け継ぐ描写も見られた。NMB48史上4人目となる、ソロ曲の歌唱も決定。白間は自ら「次世代」の枠を乗り越え、未来を手繰り寄せたのだ。

同期ながら、年上のメンバーの背中を追い続けてきたと常々語る白間。白間の言葉を借りるなら「みんなを乗せられるくらいの、更に大きな、大きな背中」に白間が後輩のためになる時が来た。白間はこれからどんなNMB48を届けていくのか?楽しみだ。※写真(C)NMB48