カブス・上原浩治【写真:Getty Images】

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29日からRソックス3連戦、地元紙は2013年を回顧「成功に不可欠な存在だった」

 カブスの上原浩治投手が、28日(日本時間29日)からの3連戦で昨季まで4シーズン活躍したレッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークに凱旋する。2013年にワールドシリーズ優勝の立役者となった日本人右腕は、地元紙「ボストン・グローブ」の取材に対して、万感の思いを吐露している。

 上原はメジャー人生である“流儀”を確立したという。2009年に巨人からFAでオリオールズに加入し、ボルティモアに邸宅を購入したが、11年途中にレンジャーズ移籍。記事では、「彼はそのニュースに号泣した」と伝えている。そして、それを境に上原は変わったというのだ。

「ウエハラはその時から特定の街、チーム、ファンと親密になりすぎないように誓った。彼の仕事における対応は一切の感情を排除した。忠誠心は自分の技術とチームメートに向けられた」

 だが、上原は今回、特別な場所に帰ってくる。登場曲の「サンドストーム」とともにスタンドを数え切れないほど沸かせたフェンウェイ・パークだ。記事では、上原がレッドソックスで球団史上7位となる通算79セーブを記録したことにも言及。2013年にはオールスターに選出され、ア・リーグ優勝決定シリーズでMVPに輝くなど、圧巻の活躍でワールドシリーズ制覇の立役者となった。

 登板後に上原が同僚と交わす激しい「ハイファイブ」や、昨季限りで現役を引退した主砲のデイビッド・オルティズが上原を抱き上げる「セレブレーション」はボストンの名物となった。記事でも「ソックスファンは彼のマウンド上での情熱と彼の成功を信奉していた」と振り返っている。

「僕はスタンドにいたわけじゃないので、何とも言えませんが、自分に対して(ファンが)そういう感情を持っていたのであれば、嬉しいです。ボストンでの4年間は僕のキャリアを想像以上に高めてくれました。その機会に感謝しています」

 同紙の取材に対して、上原は通訳を介してこう語ったという。

メジャー10年目のシーズンへの意欲も明かす「誰かが契約してくれるなら」

 これまではファンや球団との絆を避けるドライな“流儀”を見せてきたというが、記事では「シカゴ・カブスのメンバーとしてフェンウェイ・パークにウエハラは凱旋し、彼のストイックさが試されることだろう」とレポート。上原自身も「ボストンでファンの人たちに会えるのは本当に楽しみです。多くの思い出があります。一度しか達成できなかったこともありました。ワールドシリーズ優勝です。戻った時にはファンはどんな気持ちでいるのか、教えてくれると思います」と話している。

 2013年、上原はボストンで伝説となった。契約延長オプション付きの1年契約で加入し、レギュラーシーズンで73試合、ポストシーズンで13試合に登板。計88イニングで自責点はわずか10、117奪三振、四球は9(ポストシーズンは無四球)だったことを記事では回顧し、「彼はチームの成功に不可欠な存在だった」と指摘している。上原は「僕のキャリアで最高のシーズンの一つですね。もしかするとベストかもしれません」と語っているが、ボストンでの連戦でもルーティンを変えることはないという。

「僕がいた4年間もあまり出歩きませんでした。だから、急に出かけたりすることもありません。いつも通りにホテルで過ごします。オフシーズンであれば会いたい人はたくさんいます。でも、金曜日に試合もあるので、休息に充てるでしょう」

 ホテルで心静かに過ごし、翌日のマウンドに備える。ボストン凱旋でも流儀を曲げることはしないようだ。そして、日本球界で10年間活躍した上原は、メジャーで10年目を迎える来季までアメリカでプレーする希望を持っていると記事の中で告白している。

「誰かが契約してくれるなら、あと1年間プレーしますよ」

 42歳のベテランはセットアッパーを務めるカブスでは今季0勝1敗2ホールド、防御率2.08。10試合に登板し、失点した試合は4月16日のパイレーツ戦(2失点)のみと実力は健在だ。フェンウェイ・パークで愛された人気者はレッドソックスファンからどんな歓迎を受けるのだろうか。