2050年にスーパー耐性菌で世界経済危機 世界銀行が報告書で警告
世界銀行は2016年9月19日、すべての薬剤が効かない「スーパー耐性菌」の大流行で、2050年に世界全体の国内総生産(GDP)総額が3.8%減る恐れがあるとする報告書を発表した。
世界同時不況を招いた2008年のリーマン・ショックを超える衝撃をもたらす可能性があるという。AFP通信など海外メディアが報道した。
報告書によると、スーパー耐性菌が原因で死亡する人が増え、労働力不足や医療コストの上昇、貿易の縮小などが成長を阻むと分析。所得が低い途上国への影響が大きく、これらの国では2050年時点でGDP減少が5%を超えると予測。1日1.9ドル(約190円)未満で暮らす極貧状態の人々が世界全体で約2800万人増える。
スーパー耐性菌は抗生物質などの使い過ぎで広まり、各国の医療機関などでの集団感染が国際的な問題となっている。2016年5月に開かれた主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも首脳宣言に対策強化が明記された。
医学者でもある世界銀行のジム・ヨン・キム総裁は「耐性菌の脅威は貧困撲滅への努力を台無しにしかねない」との声明を発表。家畜用を含む抗菌薬の適正使用の徹底など取り組みを急ぐよう呼びかけた。