アップルが「中国配車サーヴィスへの10億ドル出資」で目指すもの

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アップルが、中国配車サーヴィス最大手のDidi Chuxing(滴滴出行)に対して、単独では過去最大となる10億ドルを出資した。

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アップルは5月13日(米国時間)、Didi Chuxing(滴滴出行)に10億ドルを出資すると発表した。Didiは、中国の配車サーヴィス最大手であり、中国での事業拡大をめざすウーバーにとって最大の脅威だ。

今回の出資は、4年前に設立されたDidiがこれまでに受けた出資のなかで、単独としては過去最大額だ。中国における配車サーヴィスの熾烈な争い(日本語版記事)において、同社に大きな弾みをつけた。

評価額で見ると、ウーバー(Uber)が625億ドル、Didiが250億ドルであり、ウーバーのほうが上回っている。ウーバーはさらに、より多くの国でグローバルにサーヴィスを展開している。しかし7億5,000万人に及ぶ見込み客を抱える中国は、オンデマンド輸送にとって世界で最も巨大な市場だ。

ウーバーは中国市場では2位だが、同社のグローバルな売上高トップ10内の5つは同国の都市だ。いっぽうDidiによると、同社は2016年1月の段階で中国400以上の都市で営業している。アナリストたちによるとDidiは、中国の個人向け配車サーヴィスで87パーセントのシェアを獲得しているという。

声明のなかでアップルは、今回の出資は、Didiが中国全土で3億人のユーザーに対して毎日1,100万人の輸送をすでに処理しているライドシェア・プラットフォームをさらに拡大する資金として使われると述べている。「Didiは、中国におけるiOSの開発者コミュニティーでイノヴェイションが起きていることを示す証だ」とアップルの最高経営責任者(CEO)ティム・クックは述べ、これをさらにサポートしたいと付け加えた。

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今回の投資はアップルにとって、米国に次ぐ市場である中国において、さらなるプレゼンスを示そうとする努力を示すものだ。重要なのは、アップルがDidiの支援に関して、中国のインターネット大手2社、アリババとテンセントに合流しているという点だ(アリババとテンセントは以前から(日本語版記事)Didiに投資している)。中国のスマートフォン市場およびスマートフォン市場全体が失速を続けるいま、この同盟は戦略的に十分な意味をなすとアップルは考えているのかもしれない。さらにアップルが、噂されているアップルカーなど、IT事業以外にもビジネスを拡大しようとしている姿勢を裏付けるものでもある。

10億ドルといえば莫大な金額に聞こえるが、アップルが保有する現金2,330億ドルから見れば1パーセントにも満たない額だ。

さらに今回の出資は、中国以外の地域における同盟関係もアップルにもたらす。Didiは、サンフランシスコを本拠とするリフトや、インドのOla、東南アジアのGrabからなる「グローバル配車サーヴィス連合軍」の一員なのだ。

アップルの中核事業に対する株主たちの懸念が日増しに大きくなるなか、同社は、野心をデヴァイス販売のみに限る必要はないというメッセージを送っているように思える。もしかしたら、配車サーヴィスには稼げる金が眠っているのかもしれない。