森岡亮太は東欧から日本代表に復帰できるのか

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先月の移籍後初ゴール以来、ここ8試合で5得点を決めているシュロンスク・ヴロツワフの森岡亮太。

昨年まで6年間プレーしたヴィッセル神戸では、1シーズンに記録した最高得点数が5であったことから、僅か1か月ほどの間にこの数字を残していることがいかにハイペースであるかが分かるだろう。

「でもポーランドでしょ?」

そんな通販番組の司会者のような疑問が飛んでくるかもしれない。

確かに代表は欧州の中堅に数えられながら、ポーランドのクラブがCLはおろかELでさえ躍進することは滅多にない。

しかし、バイエルンのロベルト・レヴァンドフスキがこのリーグで得点王を獲得して注目を集めたように、ここでの活躍によって隣国ドイツなどへステップアップする選手は確かに存在するのだ。

レフ・ポズナニ時代のレヴァンドフスキ

現在、J1・ジュビロ磐田は同国出身のクシシュトフ・カミンスキーがゴールマウスを守っている。

“神”ンスキーとも呼ばれている

彼ほどの実力者がU-21代表止まりだったことからも分かるように、ポーランドはシュチェスニ、ファビアニスキ、ボルツらを擁するGK強国として知られており、技術や戦術面でトップリーグに劣っているからといって得点するのは決して容易ではない。

こちらを見てほしい。

これは森岡が移籍して以来のハイライト動画である。

白人選手の体の強さ、フィジカルコンタクトの激しさは我々が想像する以上のものがあり、また、欧州の芝は長く、土が柔らかいために踏ん張りが利き難い。高い技術を持つ日本の選手のなかには、その環境で全く本領を発揮できなくなる選手もいる。

そんななか、密集エリアで体のバランスもプレーの精度も落とさず、平然とテクニカルなことをやってのける森岡の姿がそこにはある。特にシュートの意識、質の高さは目を見張るものがあるだろう。

森岡はブラジル・ワールドカップ直後の2014年、メキシコ人のハビエル・アギーレ新体制で日本代表に初招集され、ウルグアイとブラジル戦の2試合に出場した。

しかし、アギーレ監督が八百長事件に絡んだ疑惑を持たれたことで職務を解かれると、森岡も代表から遠ざかり次第に名前は聞かれなくなっていった。

ブラジル戦での森岡

日本に限らずではあるが、一度出世街道から外れた選手が這い上がるのは並大抵のことではない。だが人は環境によって劇的に変化をする“可能性”を秘めているものだ。

ニュルンベルクからポルトガル2部に渡り、1対1で負けないことの大切さを学んだ金崎夢生(現鹿島アントラーズ)が、J復帰後に鮮烈な活躍を見せて代表に再招集され、シンガポール戦で初ゴールを決めたことは記憶に新しい。

シンガポール戦で代表初ゴールを決めた金崎夢生

4月中旬以降、ヴロツワフが戦っているのは下位チームで争われる順位決定ラウンドであり、現在のゴールラッシュを突然高く評価するのは難しい。故にポーランドから代表復帰が可能かといえば、簡単なことではないだろう。

ただここでの活躍を機に、さらなる高いレベルのチームやリーグにステップアップすることで、現在25歳の森岡が再び代表に招集される可能性は十分に考えられるだろう。