「地方圏で働くことに興味はあるか?」

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最近、同業者(ライター)で東京から離れる人が続出しています。地方への移住を決心したようなんです。そういえば、某ブロガーの「まだ東京で消耗してるの?」なる刺激的な文言もありましたっけ。
確かに今や、地方と比較して東京に大きなアドヴァンテージがあるとは思いません。仕事にしても、直接的な対面の打ち合わせがそこまでマストなのかは疑問。メールだってあるし、skypeだってあるし、何だったらLINEだってある。地理的、距離的な問題で、地方が後れを取っているのは遠い昔の話でしょう。

一方、地方生活の魅力要素もわからないではない。自然は多いし、物価は安いし、料理も美味しい。行きたいお店や盛り場が近場に集中しているのも、便利でしょうねぇ。……いや、私はまだ東京で生活を送る気マンマンなんですが!

ところで、こんな興味深いデータを見つけました。リクナビNEXT編集部が行ったのは、首都圏から地方圏への転職に焦点を当てた「UIターン転職意識アンケート」。20〜49歳のビジネスパーソン600名(正社員・契約社員、首都圏在住300名・UIターン転職経験者300名)&採用計画の立案に関わっている地方圏企業担当者400名を対象に、意識調査が行われたようです。
まずは、首都圏で働くビジネスパーソンに向けて「地方圏で働くことに興味はあるか?」という質問を。結果、「興味あり」回答は32.6%(「非常に興味がある」10.9%、「やや興味がある」21.7%)にまで達しています。しかも、その32.6%の内の14.3%は「今すぐにでも地方圏で働きたい」と考えている模様。

一方で、「希望する仕事があるか分からない」(39.8%)、「収入が減る」(39.8%)を“地方圏で働く不安”として挙げる声も少なくなく。

う〜ん、もしかしたら問題点は“情報量”にあるのでしょうか? 首都圏で働くビジネスパーソンに「地方圏への転職に関する情報は十分だと思うか?」と質問したところ、やはり51.4%もの人が「十分ではない」(「全く十分だと思わない」10.3%、「あまり十分だと思わない」41.1%)と回答しているようです。
具体的に“不足している情報”としては「仕事の有無」(50.7%)だけでなく、生活に関すること(「生活にかかる費用の相場」32.0%、「住まいに関する情報」26.7%)も上位にあがったようです。

何やかんやで、当事者の声が聞いてみたい。地方圏への転職経験者による“地方圏へ転職してよかったこと”は、以下でした。
・「渋滞・満員電車での通勤からの開放された事。サラリーマン生活40年を考えたら、通勤往復2時間で何年この満員電車の中で過ごすのかと“時間の無駄”を非常に感じた」(中国・四国、40代男性)
・「地域特有の力を入れている業種に携われる」(九州、20代男性)
・「空気がキレイな環境になり、健康的になれた」(北海道、30代男性)

続いて、地方圏の企業の人事担当者に伺いましょうか。「首都圏からの転職採用(UIターン転職者)に関心があるか?」と尋ねたところ、69.8%もの人事担当者が「関心がある」(「とても関心がある」32.7%、「やや関心がある」37.1%)と回答しています。
でも、なぜそんなに関心があるのでしょう? 「UIターン転職者に期待することは?」なる設問では、地方圏の企業の人事担当者から「業務スキル」(61.0%)、「チャレンジ精神」(49.0%)、「企業への定着意識」(46.8%)といった回答が寄せられました。

そんなに期待しているのならば、人事担当者へ逆に伺いたい。「UIターン転職者の採用を行っていることを十分にアピールできているか?」。結果、「十分アピールできている」という回答は41.4%(「非常にそう思う」11.3%、「ややそう思う」30.1%)のみなんです……。
人事担当者が「UIターン転職者の採用意向や採用情報をアピールしている場」として挙げているのは「ハローワーク等の公的機関」(50.3%)、「自社のホームページ」(31.3%)、「転職情報サイト」(17.5%)、「地元の求人誌」(17.3%)などなど。……いやいや、ちょっと待ってよ。「自社のホームページ」とか「地元の求人誌」って、もっと門戸を開いてよ!

さて、今度は“UIターン転職者の採用実績がある人事担当者”に伺います。「UIターン転職者を採用してよかったこと」は、以下でした。
・「地域に貢献したいという意識が高い」(中部)
・「新しい空気が混じることによる新しい行動や思考」(北海道)
・「地域を別の角度で見ることができ、新たな発想を用いた企画などができる」(東北)
・「職員の意識活性化」(北海道)
・「社内の人員の空気が変わったこと」(近畿)

反面、「UIターン転職者を採用して苦労したこと」として以下のような声も寄せられました。
・「本人以外の家族が地元になじむのに時間がかかって、本人の悩みになり、相談を受けてからいろいろ援助やアドバイスをしたり苦労があった」(東北)
・「比較的若い転職者を採用した際に、とても有能で期待した人材だったのだが、なかなか地域に根を下ろすことができずに、結局半年ほどで退職してしまった」(東北)
・「東京との賃金格差の納得を得ること」(近畿)
・「新しい案に反発する社員との調和」(東北) なるほど、難しさもあるのですな……。

じゃあ、もう単刀直入に聞いちゃいましょうか。地方圏企業の人事担当者に伺うは「UIターン転職者の支援を十分にできていると思うか?」という質問。結果、「十分に支援できている」と回答した企業は43.9%(「非常にそう思う」8.3%、「ややそう思う」35.6%)のみという結果だったんです……。 何しろ、こうなんですよ。「UIターン転職者の採用時に用意している支援」を具体的に聞いたところ、「面接を土日に設定できる」(26.5%)、「選考期間の短縮化」(22.5%)、「交通費の一部負担」(17.3%)という回答が得られたものの、一方で「UIターン転職者の採用面接は行っているが、特に支援はしていない」(26.3%)、「UIターン転職者の採用面接の採用面接の実施に至っていない」(20.8%)なんて回答もチラホラあるわけで。

しかし、今後に期待は持つべき! 「5年前と比べてUIターン転職者の採用体制は整ってきているか?」という設問では「整ってきている」回答が約半数(「非常にそう思う」8.3%、「ややそう思う」35.6%)に達しているし、「今後、UIターン転職者の採用に向けた支援や制度に力を入れていきたいと考えているか?」という設問への「力を入れていきたい」回答は7割(「非常にそう思う」12.5%、「ややそう思う」61.5%)を超えていました。

2014年9月、内閣府は「人口減少」「高齢化」という課題に対し、各地域の特徴を活かした自立的で持続的な社会の創出を目的に「まち・ひと・しごと創生本部」を設置しています。2014年度補正予算では地方創生向け交付金が発表されるなど、「地方創生」の話題が盛り上がりを見せているこの昨今。
政府や自治体の支援が促進される中、企業側の受け入れ体制がより整うことを期待したいですね!
(寺西ジャジューカ)