ハローキティはネコじゃないなら何者なのか考えてみた

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昨年夏に、テレビのワイドショーやネットのニュースで騒がれた「ハローキティ、ネコじゃなかった」論争を覚えているだろうか?

事の発端は、米紙ロサンゼルス・タイムズが掲載した「ハローキティはネコではない」という記事で、“Hello Kitty is not a cat”(ハローキティはネコではない)の見出しとともに、全世界(?)に衝撃を与えた。

経緯はこうだ。昨年10月に開催された「ハローキティ生誕40周年」でのイベント記事において、アメリカの某大学の学者が「ハローキティ=ネコ」と表現しようとした際に、ハローキティの著作元である株式会社サンリオから、「(ハローキティは)ネコではない」と告げられた。
その理由やいきさつは、ネット検索すればまとめサイトも出てくるので割愛するが、「ネコじゃなければ、いったい何なんだ?」という疑問が誰の頭にも浮かんでくる。

「キティラー」を自認するレディー・ガガや華原朋美はじめ、キティちゃんは子供から大人までに愛される日本屈指の人気キャラクターである。
それなのに。キティちゃん……いったい、ナニモノなんだ!?

夜も眠れなくなる国際問題――この度、それに終止符を打つ商品がついに世に出たというので、早速入手し、チェックしてみた。
タイトルは『幸運日めくり ハローキティのにんげんだもの』。
勘のいい人は気づいただろう。「にんげんだもの」は、書家・詩人である相田みつをの作品のひとつである。
そう、相田みつをとハローキティのコラボレート企画だった!

「幸運 日めくり」というかたちで、31個の相田みつをの言葉に、キティちゃんが「あいのり」している。
たとえば、「ひとりになりたい ひとりはさびしい」という相田みつをの言葉には、キティちゃんが寂しそうに座っている様子が。「ゆ」には、入浴しているキティちゃんが。商品説明によれば、キティちゃんの絵は20点すべてが「描き下ろし」だという。つまり、相田みつをの言葉に併せて、今まで誰も見たことのないキティちゃんが惜しげもなく登場するのである。

……で、筆者なりに導き出した結論は「にんげんだもの」。
キティちゃんは、人間ゆえに、喜怒哀楽を露わにして懸命に生きていた。ちなみに、筆者のお気入りは「エンジン」という作品(毎月17日収録)。
「あのねぇ 自分にエンジンをかけるのは 自分自身だからね」
深くストレートな相田みつをのメッセージにぐっと引き込まれつつ、キティちゃんを見て癒やされるのだ。

ちなみに、この商品、英語対訳付きである。海外留学に行く日本人が異国の地で卓上に飾れば、留学中の寂しさも癒やされ、勇気づけられそうだ。外国人ウケもするだろうから、訪日観光客も書店などで手に取ることだろう。ジャパニーズ・カルチャーが、さりげなく、軽やかに、海を渡っていきそうである。

蛇足だが、商品巻末のキティちゃんのプロフィールでは、キティちゃんの父親は商社マンで、母親は元ピアニストとのこと。キティちゃんは由緒正しい良家のお嬢様なのであった。