「国の仮面をかぶった強盗」山本太郎がピケティブームを語る
格差是正を唱えるフランスの経済学者・トマ・ピケティ氏が来日。
「21世紀の資本」が話題になりました、読んでませんけど。
あの分厚い本を読んだ気になる程、記事や番組で要約された内容が一時期、世の中に溢れました。これについて「歓迎すべき流れ」と思っています。
現在の大手メデイアは、政権批判や企業批判と取られるような報道内容には腰が引けています。
TPP、労働問題、集団的自衛権に係る安全保障問題、原発、など、安倍政権が全力で取り組んでるこれらの事柄は全て、大企業の利益に繋がる話なので、「スポンサーが神様」の大手メデイアの殆どは、権力の監視、と言う報道の使命を一旦横に置いて、ヌルい報道が多い。
安倍政権に対して恐れを抱いている、と言うよりも、安倍政権と大企業が手を組んでいる状況の中、経営を考えるとツッコミが甘くならざる得ない。
不甲斐ない経営陣の下で働く、現場の記者や制作者が可哀想な事は勿論ですが、今の政治に問題はほぼ無い、かの如く、核心には迫らない番組・記事作りが多くなり、バイアスのかかった情報に視聴者・購読者は問題を自分の事と捉えづらい悲惨で危険な状態にあるのが現在。
しかし、今回のピケティ氏の来日に伴う報道には、一筋の光、一瞬、希望が見えた気がしました。
氏が語る、税金をどう集め、どう使うか、と言う再分配の話は、結局は、現在の税制で優遇を受ける富裕層、大企業、そこにぶら下がる政治家や官僚に繋がる話なのですが、それが直接批判とは取られにくい。
税金の話は、この国に生きる人々にとってはとても身近な話。
一人残らず納税者ですから。
自分の事として興味が持てる。
今の政府、今の政治、ちょっとおかしくないか、と、税金・再分配の問題から疑問を持つキッカケになるのではないか。
TV・新聞が、
「フランスの学者でベストセラーの著者が、こんな事を言ってますよ」
と、ピケティ氏の口を借りて大々的に報道した事は凄い事の様に思います。
報道はまだ死んでいない、との意思表示と僕は受け取りました。
ピケティ氏の主張の1つを、かなりザックリ言えば、拡がりすぎた格差を調整する為には、余裕ある層の所得や金融資産に対してより課税が必要ではないか? って話。
それって、山本太郎が言ってきた「無いとこから取るな」って主張と大きく違わない。無いとこからはむしり取り、お金持ちにはどう優遇するか、日夜、知恵を搾っているのが、永田町や霞ヶ関。
税金は「応能負担」が大前提。
沢山持ってるとこからはそれなりに戴きます、無いとこから取れませんから、って当たり前の話。
世の中って不公平、それを税金で調整しましょう、って話。
チャンスに恵まれ、才能溢れる人ばかりではない。
今、絶好調でも来月、来年はどうなってるかなんて判らない。
自分や誰かが弱ってる時、手を差し伸べてくれるセーフティーネットを使って、社会全体で支えましょうって事。
今の政治は、特に今の政権は、税金の基本的考え方である「応能負担」からかけ離れようとしている。
例えば、消費税。
我が国で続く消費税は、25年間続く不公平税制。
89年から3%でスタート。97年には5%。2014年に8%へ。
長きに渡り消費税を続けた事によって、我が国の経済と人々の暮らしは、どうなったか。
よくなった人、ご連絡お待ちしております。
消費税で多くの人々の生活破壊が進んだ状況なのに、10%への増税は2017年春、たとえ景気が悪かろうが必ず増税いたします、ってイカレた判断。
誰の為の増税だ?
全額、社会保障に使います、は嘘だったことからも、皆さんの生活の為で無い事は明らか。
一方で、大企業が納める法人税はこの先、引き下げ。
国の収入が減る分を、不公平税制で補う、って話。
消費税は、億万長者でも貧困状態でも、同じ税率。
それで首が絞まるのは、もちろん収入の少ない庶民。
圧倒的多数の庶民に大打撃、それが消費税。
日常的なお買い物だけでなく、全ての取引がある所に掛かるのが消費税。
その中でも苦しんでいる人々の筆頭は中小・零細企業。
我が国に存在する企業のうち、中小企業は99.7%。
そこで雇用される労働者の数は69.7%。
経営者の首が絞まれば、そこで働く人々の賃金や雇用も不安定になる。
中小・零細企業の多くは、大企業との取引を続ける為に消費税分を価格に転嫁せず自分で被ってる、って話。
一方で、中小企業や庶民の納めた消費税でオイシイ思いをするのが、輸出大企業。国内の下請けから部品などを調達する時は、消費税を上乗せさせず、自社製品を作り、海外に輸出。
「国内調達で消費税掛かってるのに、海外では日本の税制の消費税は取れないから可哀想でしょ、還付してあげようね」
って考え方の、「輸出戻し税」でオイシイ思いができる。
事実上、輸出企業への補助金になってるのが消費税。
経済的に豊かでない人々から搾り取って、笑っている人たちがいる。あまりにもフザケた話。
軽減税率。
消費税の負担で生活も大変でしょう、
生活必需品に「軽減税率」を導入しましょう、なんて話も聞こえてくる。
良い事いってくれるね? なんて騙されちゃいけない。
軽減税率も適応される特定の関係団体への補助金的な役割を果たす可能性が高い。
増税による消費の冷え込みからどの業界も保護して欲しい、そう考える業界団体は無数に拡がる。その為に、政党、政治家への企業献金はもちろん、財務官僚への賄賂、天下り先も用意するだろう。
誰が得をする為に、軽減税率を導入したいの?
今回も例に漏れず、庶民の皆様の事は眼中にないのです。
軽減税率を導入する国は世界にもある。
低所得者への負担軽減、と言いながら所得が高い人ほど、得をする、受益額が多く、所得再分配政策として問題が多いとの事。
ドイツでは廃止、という議論も出ていると言う。
経済評論家の岩本沙弓さんが、軽減税率の説明をするとき、よく例に出されている、ペットボトルの説明が判りやすい。文字数の関係でかなり端折って紹介する。
〜例えば消費税が10%となった段階で食料品に、軽減税率5%が適用されたとする。ペットボトル入りの水143円(本体価格130円+消費税率10%)は、137円になる(本体価格130円+消費税率10%ー軽減税率5%)
と期待されるでしょうが、残念ながらそうはいきません。
この場合、適用されるのはペットボトルの中身の「水」だけです。
製品によって多少前後する事はありますが、130円のペットボトル入り飲料であれば、中身の飲み物の原価は3円程度。
中身の飲み物に食料品向けの軽減税率5%が適用されると言っても、
たかだか3円の飲み物代(全体価格の比率で2.3%)では、他の材料費や製造、流通コスト中に埋没してしまう。
その結果、ペットボトル入り飲料全体が安くなると言う事は一切ない、と言う恐れもある〜
ペットボトル1つ取ってもこの有様。
なめてんのか?
はい、皆さん完全になめられてますよ。
消費税にしがみつき、軽減税率と言う新たな詐欺的方法で自分たちのハラを肥やそうと、今日も永田町・霞ヶ関は一生懸命です。
じゃあ、山本太郎はどうやって財政難といわれる状態を切り抜けるのか?
お金持ちと、大企業への偏りすぎた税制優遇を是正すれば消費税は必要ない、のでは?
消費税は廃止。所得税の累進制の強化、金融資産への課税。
財務省や大企業にビビってんじゃねえぞ、政治家。
誰の税金で給料貰えているのか、もう一度よく考えた方がいいのでは?
今の状態は、消費税1つ取っても、国の仮面を被った強盗だ。
ないとこからとるな。
著者プロフィール参議院議員
山本太郎
1974年、兵庫県宝塚市生まれ。1990年高校1年生時に『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』の「ダンス甲子園」に出場し、芸能界入り。1991年、映画『代打教師 秋葉、真剣です!』で俳優デビュー。『光の雨』、『GO』で2001年度日本映画批評家大賞助演男優賞を、『MOONCHILD』、『ゲロッパ』、『精霊流し』で2003年度ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。2011年3月11日に発生した東日本大震災の後、4月より反原発活動を開始。2013年7月、参議院議員選挙に東京選挙区より出馬、666,684票(11.8%)を得て当選。内閣委員会に所属。現在、原発問題、被曝問題、子どもと放射能、TPP問題、労働問題、社会保障制度改革、表現の自由に関わる問題等に特に深く関わり活動中。
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