【米国はこう見ている】サイ・ヤング賞への大きな鍵に 岩隈が昨季終盤に失速した要因とは
昨季メジャー自己最多勝利も、最後の7試合で防御率7.88だった岩隈
マリナーズの岩隈久志投手が、7試合で防御率7.88という大不振に陥った昨季終盤戦の“悪夢”の再発防止に向けて、今季のキャンプを順調に過ごしている。地元紙「ニュース・トリビューン」がその様子をリポートしている。
アリゾナ州ピオリアで行われているスプリングキャンプで、右腕は順調な調整を続けている。昨年は1勝差でワイルドカード2位に届かず、プレーオフ進出を逃したマリナーズにとって、フェリックス・ヘルナンデス投手とダブル・エースを形成する岩隈の活躍は不可欠となるが、乗り越えるべき壁があるという。
記事では昨季、岩隈が21試合目の先発となった8月19日のフィリーズ戦終了時点で12勝6敗、リーグ5位の防御率2.57と好調を維持していたが、そこからパフォーマンスが下降したことに言及。「昨年は最後の7試合でわずか32イニングしか投げられなかった。1試合平均5イニング以下だ。被安打40本で28失点を喫し、その間の防御率は7.88。それまでの3倍の数字だ。このスパンで15イニング以上投げたア・リーグの投手の中で最低の数字だった」と指摘している。
最終的に28試合先発で15勝9敗、防御率3.52という成績に終わった岩隈には、失速に心当たりがあるという。
指揮官「彼はこのキャンプですごく力強く見える。復調することを期待している」
「指がピッチングに影響したと思っていません。全体的な疲労ですね。スプリングキャンプに参加できなかったので、それが自分自身に影響したと思っています。特に終盤で」
右腕は通訳を介してこう語ったという。昨年はスプリングキャンプ前の自主トレ中に右手中指の腱を損傷。キャンプ中は懸命なリハビリに励んだが、添え木で固定した指では投球練習などはできなかった。
「6か月のシーズンに向けて体を作り上げ、腕を作る。(スプリングキャンプは)とても重要なんだ。彼は反復練習をせずに、いきなり火の中に飛び込まなければいけなかった。それは異常なほどに大変なことだ」
ロイド・マクレンドン監督もこう語っている。キャンプでのトレーニング不足がスタミナ面に大きく影響し、終盤の失速につながったようだ。
一方、記事では岩隈が2013年シーズンに終盤の8試合で4勝0敗、防御率1.62という圧倒的な成績を残したことを紹介。このシーズンはしっかりと開幕前の準備をできていたという。
「彼はこのキャンプですごく力強く見える。復調することを期待しているよ。復調というけれど、この男は昨年も信じられないようなシーズンを送ったんだけれどね。時々、彼が本当はどれだけ素晴らしい選手なのか、忘れてしまうんだ」
指揮官がそう大きな期待を寄せる岩隈。本調子ならサイ・ヤング賞を狙えるエースが、マリナーズを2001年シーズン以来のプレーオフに導く。