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【今週の住活トピック】
三井住友トラスト基礎研究所がレポート「住宅購入価格は年収の『5倍』が一般的に」
http://www.smtri.jp/report_column/report/pdf/report_20150123.pdf

三井住友トラスト基礎研究所が住宅購入価格と年収を分析したレポートを発表した。年収倍率は5倍が一般的になり、返済負担率は増加傾向にあるという。レポートの内容を確認しながら、年収と予算の関係について考えてみよう。

価格年収倍率は5倍に、返済負担率も徐々に上昇

三井住友トラスト基礎研究所レポートの前提を確認しておこう。
フラット35」(住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する長期固定金利の住宅ローン)の利用者の平均的な年収と購入した住宅価格などを分析したものだ。現金だけで購入したり、変動型などの民間金融機関の住宅ローンを利用した事例は対象外だ。

平均年収と平均購入価格の比率である「価格年収倍率」は、2000年代は4倍前後であったものが、2008年のリーマンショックの金融危機による一時的な低下はあったものの上昇し続け、2014年は4.94倍(推計)と5倍に迫っている(画像)。

価格年収倍率が上昇する要因は、購入する住宅価格は一定水準が維持されているのに、年収のほうは減少しているからだ。平均で見ると3000万円前後の住宅を購入する際の年収が、700万円前後から600万円に低下しているといった具合だ。

近年はフラット35の金利が低下し続け、利息の負担が軽減されてはいるが、価格年収倍率が上昇しているため、世帯年収に対するローンの年間返済額を表す「返済負担率」は、徐々に上昇する傾向にある。とはいえ、ローンの返済が遅れたり、返済不能になったりする割合はいずれも全体で見れば低い水準にある。

【画像1】価格年収倍率の推移(出典:「三井住友トラスト基礎研究所レポート」より抜粋)

返済負担率は25%以内がひとつの目安

一方で、返済負担率別に住宅ローンが返済不能になる割合を見ると、返済負担率が25%を超えると高くなる傾向が見られる。特に、2009年以降に住宅ローンの返済を開始した場合で、その傾向が顕著だという。これは景気の悪化などで収入が減ったり、失業したりといった影響を受けた場合に、返済負担率が高いほどローン返済が難しくなるからだ。

この結果から考えると、返済負担率の目安は25%以内といえるだろう。
ちなみに、フラット35の場合は、返済負担率は35%以下まで借りられる(年収400万円以上の場合。年収400万円未満の場合は30%以下)。借りられるからといって25%を超えて借りた場合は、リスクを伴うということだ。

もちろん、年収が500万円の人と1000万円の人では、返済負担率の目安は異なる。年収が高い人ほど生活固定費などの比率が低く余剰資金が増えるので、返済負担率が高くても返済不能になるリスクは低い。逆にいうと、年収が低い人ほど返済負担率を抑えたほうがよいということだ。レポートのデータを見ると、返済負担率が20%以下でも返済不能になる割合は0ではない。

また、返済負担率の元になる年間返済額(年間の毎月返済額とボーナス時の加算額の合計)は、返済期間が長いほど、金利が低いほど抑えることができる。だからといって、定年を大幅に超えた返済期間にしたり、当初は低金利でも返済期間中に金利が上昇する可能性のある金利タイプで借りたりして、返済負担率を25%以下にしても安全圏ということにはならない。

返済期間中に金利が上昇して返済額が増えたり、返済期間を短縮するために繰り上げ返済をしたりするための、余剰資金を確保できているかどうかも併せて考えてほしい。

「価格年収倍率」と「返済負担率」の両面から購入価格を検討し、自分たちの収入の見通し、教育費などの支出増減の見込みなどを考慮して、返済不能に陥らない資金計画を立てることが大切だ。今後の住宅価格については、建設コストの上昇や地価の上昇を受けて高くなる傾向にあるので、くれぐれも無理は禁物。