クアルコムはNexus 6に搭載しているSoC「Snapdragon 805」の次世代モデルとして「Snapdragon 810」を発表しています。2015年に登場する高性能スマートフォンのフラグシップSoCとして注目されており、「Xperia Z4」などに搭載されると見られていますが、CPU・GPU・対応無線規格などの強化された性能について、Ars Technicaがまとめています。

Snapdragon 810 Processor Specs and Details | Qualcomm

https://www.qualcomm.com/products/snapdragon/processors/810

A quick look at Snapdragon 810, 2015’s first flagship mobile chip | Ars Technica

http://arstechnica.com/gadgets/2014/12/a-quick-look-at-snapdragon-810-2015s-first-flagship-mobile-chip/

◆CPUはKraitからCortex A57/A53へ



クアルコムはSnapdragon S4を発売して以来、Snapdragonシリーズのプロセッサにクアルコム製の「Krait」を使用していましたが、Snapdragon 810から新たにARM製の64-bit Cortex A57/A53が4コアずつ、合計8コア使用されるようになります。ARMはこの省電力設計の組み合わせを「big.LITTLE」と呼んでいます。



◆GPUの処理速度は前バージョンより30%アップ



GPUは引き続きAdreno GPUシリーズが使用されますが、810に搭載されるAdreno 430は、805のAdreno 420より30%も処理速度が向上しているとのこと。最大3840×2160の4K解像度をサポートしているため、Snapdragon 810搭載タブレットは全て4Kスクリーン対応タブレットになることも予想されます。

◆無線規格は60GHz/5GHz/2.4GHz帯域に対応



無線規格では、802.11acとLTE-Advanaced規格のCategory 9に対応。下り450Mbps/上り50Mbpsとなり、下り最大速度は大幅な増加となります。また、WiGig(802.11ad)もサポートしているため、2.4GHz/5GHz帯域だけでなく、さらに高速な60GHz帯域に対応。理論上の最大転送速度は7Gbpsに上ります。802.11adは障害物の通過に弱いという制限がありますが、TV・STB・スマートフォン・タブレットといった見通し距離内の通信に適しています。状況に応じて60GHz帯(802.11ad)/5GHz帯(802.11ac)/2.4GHz帯(802.11b/g/n)の切り替えに対応できる世界初のSoCというわけです。

◆デュアルレンズとOSキルスイッチ



チップ自体の機能ではありませんが、クアルコムは焦点距離の異なる2枚のレンズによって撮影後のフォーカス位置や画質変更などが可能なスマートフォンをMobile World Congress 2014で発表しています。そのため、Snapdragon 810搭載スマートフォンはHTC One M8のようなデュアルレンズ対応フォンになるかもしれません。その他、デバイスの紛失時やハッキングによるデータ窃盗などを防ぐハードウェアベースの独立型OSキルスイッチの「Safeswitch」も大きな特徴の1つ。不正利用が行われる前に端末の機能を完全に停止させることができ、ユーザーによる復旧にも対応しているとのことです。