【米国はこう見ている】地元メディアからは「新型ダルビッシュ」の評価も 今季初白星で見えた日本人右腕の進化
レイズ戦は7イニングで89球の“省エネ”投球
6日のレイズ戦で今季初先発初勝利を挙げたレンジャーズのダルビッシュ有投手が地元メディアに「新型ダルビッシュ」と評価された。マイク・マダックス投手コーチから今季の課題として挙げられていた球数減、ストライク先行などを初登板から実践。絶対的エースの進化をESPNダラスが分析している。
寝違えによる首痛から復帰した初戦で7回無失点の好投を見せたダルビッシュに対し、地元の辛口メディアの評価も高かった。
「3週間の不在を経て、日曜日に復帰したダルビッシュは大方の予想であるサイ・ヤング賞受賞の本命に見えた」
こう絶賛する記事では、ダルビッシュの投球内容に進化の証しを探っている。この日7イニングで投じたのは89球。昨年は1イニング当たりの平均投球数が16・5球だったのに対し、この日は12・7球だったという。マダックス投手コーチが要求していた通り、かなりの省エネの投球に成功している。
しかも、89球中65球がストライクで、カウントの上でも昨年以上に優位性を保つことができた。要所をきっちりと抑えたピッチングは、相手打線に10個もの残塁の山を築かせることにもつながっている。
「これがストライクを集める、新型ダルビッシュかもしれない。四球を減らし、投球数を抑える。試合終盤でも持続性を保つことができる」
記事ではこう評しており、以前からメジャー屈指のハイレベルなピッチングを見せていたエースがさらにバージョンアップしたことを伝えている。
マダックスから指導を受けた新たな武器、チェンジアップ
この日の速球の平均速度は91・7マイル(147・5キロ)。最高は95・1マイル(153キロ)だったが、不必要なまでに力む様子はなかったと分析している。
また、奪った6つの三振の内訳は速球2、カーブ2、スライダー1、そしてメジャー史上最速で記録した500三振目は、ウィル・マイヤーズからチェンジアップで奪った。記事では「これ(チェンジアップ)は新しい武器になるかもしれない」としている。
チェンジアップは殿堂入りを果たした往年の名投手で、レンジャーズのGM特別補佐でもあるグレッグ・マダックス氏の指導も受けて改良に着手し、昨年からメジャーで本格導入したもの。
昨年の公式戦でチェンジアップを90回投げたが、うち三振に仕留められたのは4回だったという。それが今シーズン早くもチェンジアップで三振を奪い、メジャー最速で500奪三振までも打ち立てた。ダルビッシュは昨年の試運転を経て、さらに効果的に使える武器に進化させたのかもしれない。
ダルビッシュの快投で3連敗を免れたロン・ワシントン監督は「これ(ダルビッシュ復帰)が我々に必要なものだった。今日もダルビッシュはダルビッシュだった」とたたえた。
エースとしての重責を黙々と背負い続ける姿はこれまでと変わりないが、その内容は昨年から変化していると現地でも見られている。ダルビッシュはさらなる高みにたどりつこうとしている事実を、2014年シーズン初戦にして見せつけることに成功したようだ。