高野山にミシュラン「三つ星」効果 「神秘的」とフランス人に爆発的人気
和歌山県の高野山が欧州からの観光客を集めている。ミシュランガイドで「3つ星」評価を受けたこともあり、特にフランス人観光客が大幅に増加。県の担当者も「熊野古道など、高野山以外の観光地もPRしていきたい」と意気込んでいる。
和歌山県によると、2003年に年間約6000人だった県内の欧州人宿泊客数が、09年は約2万8000人まで増加。特にフランス人の増加が目立ち、03年の1000人が09年には1万4000人にまでなっている。
「浮世と全く違う時間が流れている」
理由として考えられるのが、フランスのタイヤメーカー、ミシュラン社が09年3月に発売した旅行ガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』に高野山が掲載されたことだ。
この中で高野山は「わざわざ訪れる価値のある場所」として3つ星を獲得。「印象深さ」という点で高く評価され、「浮世と全く違う時間が流れている。西洋人にとって神秘的」と紹介された。
高野山は、1200年前に空海が真言密教の総本山として開いた山で、山内には寺院のほか、52の宿坊がある。年間の参拝客数は110万人とされ、2004年に世界文化遺産に登録された。07年にも、ミシュランの簡易版ガイド『ボワイヤジェ・プラティック』日本編で2つ星の評価を受けている。
宿坊が英語対応、精進料理も人気
高野山観光協会の担当者によると、外国人観光客は京都や奈良、大阪などを起点に高野山まで足を伸ばしてくる。日本人と同じように金剛峯寺などの観光スポットを見て回るが、時間の使い方は少し違う。
「日本の方は『ここに行かなきゃ、ここに行かなきゃ』と忙しく回りますが、海外の方は何人かで来ても、一人二人でばらけて、雰囲気を楽しみながら自由に過ごしているようです」
英語に対応する宿坊もあり、肉や魚を使わない精進料理が外国人宿泊客に受けているという。
和歌山県の観光交流課は04年ごろから、フランス人観光客を招致する活動を続けており、フランスの旅行代理店を訪問し、仏メディアへのPRもしてきた。「ミシュラン効果」もあってフランスからの観光客が大きく伸びたが、担当者は、
「今後は、アメリカやオーストラリアの方にも異文化を体験できる高野山を知って頂けたらと思います。また、県には他にもいいところがたくさんあります。熊野古道も外国人のお客さんが増えてはいるのですが、高野山と比べるとそれほどではありません。そちらの方も紹介していきたいですね」
と意気込んでいる。
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