インタビュー:たむらぱん「内に向かう気持ちが湧くといいな」
――歌詞って、自分以外の誰かに向けて書いている部分もあれば、自分自身に言い聞かせている部分もあると思っていて。8曲目の「ごいん」は、「もっと強引になった方がいいのに」とか「自分ももっと強引になりたい」と思うような場面はありますか?
たむらぱん:あのー…無いんです(笑)。この曲は、自分も強引になりたいと思っているから書いた、という方が強いと思うんですけど。別に妥協している訳じゃないけど、絶対に「100%やったか?」と聞かれると、そうじゃないことっていっぱいあって。だから、そういうのを「やりきった!」と思えるようになりたいのもあったし。あと、この曲で1番気に入っている所が「AからZまで」じゃないけど「方法がいっぱいあるから」という所を主張したくて。選択の幅とか、世の中は結構開かれているんじゃないか?みたいな。さっきの終電の話じゃないですけど(笑)、方法は色々ある。そんなにすごく区切られて、こっちがダメだったらもう…という分かり切った感じではなくて、結構開かれている所もある。「そういう所だと思いたいよね?」というのがあるんですけど、そうじゃないと多分、挑戦も出来ないし、何かをする時に最初から範囲を決められるのが1番やりにくいと思うんですよね。
――別に態度が偉そうになったかではなくて、相変わらずというか今まで以上に“フニャン”としている部分もあるんですけど、お話を聞いていると徐々に自信とその裏には責任感みたいなものが付いてきているのが、1年前とは変わってきているなと。
たむらぱん:そうですか!?(笑)。――「大丈夫」と言ってもいいというか、むしろ今は言うべきという。
たむらぱん:分かりやすい性格なので多分、変化とか雰囲気ですぐ出ると思うんですよ(笑)。――歌詞も面白いんですけど、ちょっと“ごいん”な曲の展開だったり、テクニック的に小技を効かせている部分もありつつ、いい意味で小さくまとまらないインディーズ感は健在だなと思いました。
たむらぱん:良かった(笑)。――お店の試聴機で1曲目から聴く人も多いと思うんですけど、「ジェットコースター」は、すごくポップでメジャー感もありつつ、個人的には手作りなインディーズ感のするミュージックビデオがすごく良かったです。
たむらぱん:ありがとうございます。あまり大きな声では言えないんですけど(笑)、やっぱり回りに回ってそこに戻ってきたというか。「ジェットコースター」の監督さんが初めての監督さんなんです。今、規模とかが小さくてもやれるすごさみたいなものを、前は多分そこしか出来ないから、という所があったと思うんですよ。でも、今は環境とかでも選択できるようになったけど、その中でいいと思う方に進むことが出来るようになったと思ってきて。「ジェットコースター」は、たくさん出来た選択肢の中で、いいと思えるものを選んだのが形に出来ている作品な気がするんですよね。――たまに、掛けた制作費の規模の大きさをプロモーションに使用するような人がいますけど、そうではなく。目に見える部分では伝わりにくいかもしれないけど、その裏側の手間ひまとか時間と愛情の掛け具合はすごいだろうなと思ったんですよね。
たむらぱん:そうですね。監督も私も本当に1歩歩いて写真を撮ってみたいな、1歩1歩をコマ送りで撮影したので。私もメチャメチャ歩いたと思ったけど、その分またすごい量の写真があるわけじゃないですか。それをあの中に入れるって多分すごく大変だったと思うし。夕暮れになる所って1秒くらいなんですけど、あのためだけに何時間も粘って。もしかしたら、やろうと思えば普通に画像処理とかで暗くしていけるかもしれないじゃないですか(笑)。でも、そういう所を楽しんでいるのもあるのかなと思って。そういう感覚は、ずっと覚えておきたい、みたいな所はありますけどね。