――「ブタベスト」に続き、「ノウニウノウン」というタイトルも適当に考えたように見えつつも、なんだかんだ言って理由はもちろんあるだろうなと。

たむらぱん:そうなんですよ(笑)。タイトルは、どの曲を入れるか決まった時点でどうしようか考えていて、1個の何かの物の名前というか名詞みたいな、イメージがすぐに湧いちゃったり、そのものに対して直結しちゃうようなタイトルにはしたくなかったんですよね。

それで色々と考えている中で、自分の過去でもいいし、これからと思っていることを再確認するでもいいし、このアルバムを聴いた人それぞれが自分を振り返る。自分に対して何か思ったり、改めて知り直したり、何か内に向かう気持ちが湧くといいなという個人的な願いがあって。だから、「知る」という単語の、ずっと過去から今までも、みたいな感じで「ノウニウノウン」にしたんです。カタカナにしたのは束縛されないイメージというか、みんな切り目も分からなくて、「何だろう?これ」みたいな所を出したくて。「ウ」も真ん中に入っていて「すげぇな」、最後はその「すげぇな」で決めちゃったんですけど(笑)。

――以前から、受け取る側に想像の余地を残すというか。ジャケットなどにも疑問符が浮かぶようなポイントを意図的に残したり、「たむらぱん」というアーティスト名が象徴的ですよね。12曲目の「ライ・クア・バード」は以前よりライブでも披露されていた曲ですが、「・」の切れ目はどのように?

たむらぱん:「鳥のように」という歌詞があるので、普通に聴いた時は「ライク・ア・バード」なんですけど、字を見ていたら「クア」という所が鳥の声に見えたんですよ。鳥が鳴きながら、「ライ」は「やって来る」の「来」だと思って、そこで切ったんですよね。

――そういう語呂遊びみたいな所も歌詞に出ますよね。

たむらぱん:そうですね。そういうのを見付けたり、何かを思って。そっとバレないように、さりげなく書いておくのは好きですね。

――今回の曲で、1番古い曲はどれですか?

たむらぱん:デモとして1番古いのは「恋は四角」だと思うんですよね。

――歌詞は、その当時から若干変えたりは?

たむらぱん:実は、この曲の歌詞は多分1箇所も変わっていないんですけど、アレンジが全然違って。「恋は四角」とか「チョップ」とか「十人十色」とか、アルバムの中でも特に気に入っているんですけど、「恋は四角」は何年もやってきた2枚目のアルバムというタイミングでというか、色んなミュージシャンと関わってサウンド的な経験をしてきた中で、やっと思っていた雰囲気のアレンジができるようになって今、録音できた曲だと思うんです。多分もっと前にやっていたら、ちょっと物足りないけど、物足らすというか(笑)。満たす所も分からない、みたいな感じだったと。

――以前はどこが物足りないのかすらも人に上手く伝えられなかったのが、今では頭のイメージがかなり具体化できるようになってきたんですね。

たむらぱん:そうですね。それを実際に出すという成長は、この1年でも結構あったと思うんですよ。

――ありがちに言ってしまうと「バラエティに富んでる」みたいな表現になってしまうんですけど、1人のアーティストが作り出すアレンジのバリエーションではないというか、この人は一体どういう脳みそをしているんだろう?みたいな。歌詞については、そんなに拳を振り上げて強いメッセージを掲げるような直接的なタイプではないとは思いますが、基本的には言っていることは変わらずに…。

たむらぱん:前向きなというか。偶然だと思うんですけど、今回のアルバムの曲で曲調は違えど、なんとなく全部の曲が「世の中、色々あってしょうがないけど」という前提がちゃんと付いていて。でも、「明日も頑張るか」みたいな、そういう緩い頑張りという歌詞な気がするんですよね、自分の中で。