5日の対マルセイユ戦(第23節)で負傷したパリ・サンジェルマン(PSG)の左センターバック、マリオ・ジェペス(コロンビア代表)のシーズンが早くも終わった。

 この試合の前半34分、ペナルティエリア内で浮き球をクリアしようと振り切ったジェペスの左足が、スパイク裏を向けて突き出したシセ(マルセイユ)の右足と激しく接触。ジェペスの身体が反動でそのまま逆方向に弧を描いて回転するほど大きな衝撃だった。

 しばらく倒れ込んだジェペスだったが、その後もプレーを続行。シセにヒジ打ちを食らわせて復讐するなど“元気”なところを見せていたが、前半終了とともに交代し、病院に直行した。診断の結果、外踝(がいか=くるぶし)の骨折で全治少なくとも3カ月と判明。今シーズン中の復帰はほぼ絶望的となった。

 意図せずに“加害者”となったシセだが、自身も2度の骨折で苦しんだだけに、相手の無念は“痛いほど”わかるはず。しかし、フランス通信(AFP)が伝えたシセの談話によると、“接触”後にジェペスがとった態度のせいであまり同情的にはなれないらしい。

 シセの言い分はこうだ。「彼にはピッチで謝った。今もここでこの通り謝る。しかし彼に電話はしないだろう。彼の前で土下座をするつもりはない。ケガをさせる気なんてなかった。謝りに行ったのに、犬のように追っ払われたんだ。俺が謝らなかったとPSGで言われているとしたら心外だ。それに、あの後ジェペスが俺の首にヒジ打ちしたのをみんな見ただろう。ジェペスはそれを知っているし、俺も知っている。(W杯直前の中国戦でケガをさせられたとき)あの中国人だって俺にFAXはよこさなかった」。強面とは裏腹に性格の良さで評判のシセにしては珍しく“逆ギレ”気味だ。

 しかしPSGの選手とサポーターにとって、シセの言葉は愉快でないはずだ。指揮官が不仲だったラコンブ監督からル・グエン監督に代わって以来、ジェペスのプレーは確実によくなっていた。ディフェンスのリーダーであるジェペスが抜けたのは、2部降格のピンチに立つPSGには何とも痛い。