フランスリーグの「クラシコ」といえば、マルセイユ対パリ・サンジェルマン(PSG)の一戦を指す。1899年に創立したマルセイユに対し、PSGは1970年創立と歴史が浅く、本来「伝統の一戦」とは呼びにくいが、過去30年以上にわたって名勝負を繰り広げてきたカードだけに、「クラシコ」の呼び名は定着している。

 しかし今の両クラブの勢いには大きな違いがある。マルセイユは第22節終了時点でリーグ4位。一時4連敗で苦境に陥ったが、リベリとシセの復活で盛り返した。フランス杯でリヨンを劇的な逆転で下し、勢いに乗っている。一方のPSGは今シーズンわずか4勝(9敗10引き分け)と、この時期で創設以来最低の成績。昨年10月28日以来勝利に見放され、2部降格の危機に喘いでいる。

 4日、マルセイユのホームで行なわれた54戦目の「クラシコ」は、その名にふさわしい好勝負となった。PSGと勝ち点が並んでいたトロワが同日、先に終了した試合でリヨンから金星をあげたため、PSGにとってはとくに負けられない一戦だった。その執念がゲームにもよく表れ、PSGはマルセイユの攻撃を全員で守った。後半70分にシセ(マルセイユ)のゴールで先制された5分後、パウレタの得点で追いついた。

 不調が続いていたパウレタにとっては、ペナルティーキックを除いてほぼ2カ月ぶりのゴール。ル・グエン監督の就任、MFガジャルドの加入で、チーム状態は目に見えてよくなっているPSG。主将パウレタのゴールによってアウェーの「クラシコ」をドローに持ち込んだことは、今後に大きなプラスとなり得る。