フィギュアでなぜ日本勢が強すぎるのか 坂本の分析は「相乗効果」
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯が閉幕した。女子は坂本花織(24)=シスメックス=が、SP&フリーの合計の全てで今季世界最高を出して3年ぶり3度目の優勝(21年大会は新型コロナ禍でISU非公認大会として実施)。2連覇が懸かるGPファイナル(12月、仏)進出が決定した。千葉百音(木下アカデミー)が2位。青木祐奈(MFアカデミー)が3位で、スケートカナダに続く今季2度目の日本女子のGP表彰台独占。この快挙の要因をひもといていく。
日本勢の躍進がめざましい。NHK杯では女子が表彰台を独占し、坂本は「そう!いや、もうびっくり!こんなうれしいことないから。『えっ、すごくない?』って」と驚きながら笑った。今季、日本女子がGPシリーズの表彰台を独占するのは、坂本が優勝したスケートカナダに次いで2戦目。NHK杯では08年大会以来の快挙だった。
今季のGPシリーズは現在、第4戦まで終了。表彰台は12人中10人が日本勢という驚異の結果で、このままいけばGPファイナルも日本勢がかなりの割合を占めそうだ。この状況に坂本も「大会までに(表彰台は)9分の7が日本人で、『NHK杯、プレッシャーがすごいな』と思ってたんですけど、『またプラス3やん』みたいな感じ。今年の日本、すごい」とにんまり。
なぜ活躍が続くのか。強豪・ロシア勢がウクライナ侵攻により国際大会から姿を消したことは要因の一つにはあるだろうが、それだけでは日本の独占にはつながらない。その理由を坂本は「相乗効果」と分析している。
「今、ジュニアの子も一人一人が、本当に自分からいろんなことを取り組んでいる。氷上だけじゃなくて、陸のトレーニングだったりとか。生活をスケートのためにささげている選手が本当に多い。意識の高い選手ばかりで、自分も見習わないとなと思う部分もたくさんある」
刺激はさまざまなところから受けている。スケートアメリカでGP初優勝を果たし、フランス大会2位でGPファイナル進出を先に決めた盟友・樋口新葉(ノエビア)がNHK杯の前日練習に訪れた際には「激アツ」と祝福。男子で同門・壷井達也(シスメックス)がNHK杯3位で初のGP表彰台を射止めたことも、「めちゃくちゃ刺激を受けた」と燃えたぎった。
ジュニア世代の追い上げも激しい。今季のジュニアGPファイナルには女子3人、男子2人が進出を決めた。全日本選手権(12月、大阪)には世界ジュニア2連覇中で大技・トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と4回転トーループを持つ島田麻央(16)=木下グループ=らが参戦する。
4連覇を狙う坂本は「(全日本が)恐ろしいです、これ(GP組)にプラスジュニアの子も入ってくるので、多分今回以上の緊張だと思います」と苦笑い。今季の世界選手権や来季の五輪代表争いへ、刺激し合う選手たちが、国内外で熾烈(しれつ)な戦いを繰り広げる。(デイリースポーツ・田中亜実)