豪州代表のジェイク・ボーウィ【写真:羽鳥慶太】

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プレミア12で日本と対戦、投手と一塁手、捕手までこなすマルチな才能

 野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」に出場する日本代表「侍ジャパン」は13日、名古屋市のバンテリンドームで豪州代表との初戦を迎える。その中にいるのが、大谷翔平投手(ドジャース)ばりの投打兼業選手だ。28歳のジェイク・ボーウィは投手、一塁手、捕手をこなす三刀流。「ボータニ」という愛称で呼ばれ、豪州リーグで大谷ルールを初めて適用された選手。本家への憧れを語る一方で、大谷がこの大会に参加しないのは豪州の「アドバンテージ」だと口にする。

 大谷をもじった「ボータニ」という愛称が、すっかり板についている。ボーウィは昨冬、豪州ウインターリーグのパースでプレー。野手としては37試合で打率.301、5本塁打。投手としては5試合に登板(うち4試合先発)し1勝0敗、防御率1.93という好成績を残した。投打に渡ってインパクトのある数字を残し、今回来日してからも東京都府中市で行われた合宿中、社会人野球のセガサミーとの試合で一塁手、投手として出場した。打者としては身長183センチ、体重92キロの体を生かしたパワフルな打撃、投手としては独特の変化を見せるドロップが魅力だ。

 さらに、大谷を超える武器もある。投手、一塁手の他に捕手もこなせるのだ。三刀流とも言える活躍で大谷と比較されるのを「かなりクールなことだよね! 史上最高の選手と比べられるのはクールなことだし、興奮しない選手なんかいないと思うよ」と喜ぶ。他人にはない武器で、大リーグを席巻する大谷を「彼のスイングは素晴らしいし、彼がする全てのことが記録を破っている。比べられるように頑張るよ」と“本家”として尊敬している。

 2014年に捕手としてアストロズと契約し、米球界で2年間プレーした。当時も二刀流に挑む可能性はあったが「ピッチングが好きじゃなかった」ため、一度は断念したという。やがて一塁手としてプレーする時間が増えたが、たまたまチームに投手が不足していた1日が運命を変えた。マウンドに上がると好投し、そこから投打での貢献を期待されるようになった。

 日本とは縁がある。今回代表に選出された早川隆久投手(楽天)とは、昨冬の豪州リーグでチームメートだった。今でも時々連絡をとっており「野球のことや、それ以外の話もするよ。投手として僕を助けてくれたこともある。あのような男とこんな関係になれてクールだよね」。海を越えたアドバイスが、日本代表を苦しめることまであるかもしれない。

 日本代表は2019年の前回大会も制しており、今大会も他国からは優勝候補の一角とみなされている。ただボーウィは「野球はどんなチームでも勝てるスポーツ。最高の選手であっても悪い日はある。チームで最高の野球ができれば、勝てると思っているよ」と、下剋上への自信を見せる。この大会は大リーグの40人枠にいる選手は出場できず、憧れる大谷の不在を豪州は「アドバンテージとして使おうとしている」とニヤリ。起用法が注目される選手だ。

(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)