SPで首位発進した鍵山優真【写真:荒川祐史】

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GPシリーズ第4戦・NHK杯

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯は8日、東京・代々木第一体育館で開幕。男子と女子ショートプログラム(SP)でともに日本勢3選手がトップ3を独占する快挙が生まれた。これに伴い、トップ3選手の会見では珍事が発生。進行役から「本当によろしいでしょうか?」と念を押されるほど、短時間で終了した。

 男子SPは北京五輪銀メダリストの鍵山優真が105.70点で首位発進。2位・三浦佳生は102.96点、3位・壷井達也は85.02点で、ともに自己ベストを叩き出し、日本勢でトップ3を独占した。さらに、女子SPは今季世界最高の78.93点をマークした世界女王・坂本花織を筆頭に、ともに自己ベストをマークした71.69点の2位・千葉百音と69.78点の3位・青木祐奈が続き、こちらもトップ3を独占した。

 先に演技を終え、ミックスゾーンで囲み取材に応じていた鍵山は、三浦の得点で受け答えを一瞬“中断”。100点超えを知ると「おおー、すごー!」と思わず声を上げた。日本選手が互いの高得点を喜んだ男女シングルの後には、上位3選手が出席する会見が設けられたが、出席者全員が日本勢となったから故に“早期終了”となった。

 男子会見では、計2つの質問が終わったところで、メディアからの質問が途絶えた。それもそのはず。3選手とも、ミックスゾーンでの囲み取材で十分に話してくれていたから、報道陣は聞きたいことが既にある程度は聞けていた。東京開催ということもあり、日本メディアが大多数で、海外メディアもそれほど多くはなく、日本語のみで行われた会見は僅か3分で終わろうかとしていた。

 本来、英語も交えてもう少し長い時間行われるのが普通だが、質問がない以上は仕方がない。進行役が終了しようとしたところで、ようやく次の質問者が現れたが、それでも会見は約5分で終了した。女子も同様で、質問は計3問。「本当によろしいでしょうか?」の念押しもあったが、こちらも約6分ほどで終了した。日本開催のGPシリーズで、日本選手が躍進したから生まれたちょっとした“珍事”だった。

 以下、男女シングル会見の一問一答。

総合でもトップ3独占へ、壷井「カギは僕にかかっているなと」

▼男子シングル

――今日の演技を振り返って。

鍵山「今日の演技は、いい意味で最初から最後まで練習通りできて非常によかった。こっちに入ってからコンディションのいい状態で練習ができ、氷の状態はいつも練習しているところとは違うが、それでもいつも通りの練習ができ、そのまま本番で出すことができて嬉しい」

三浦「できることを尽くしたし、全部出しきれた。練習があまり良くなく、不安が大きかったが、割り切ってリラックスして本番に臨めて凄くよかった」

壷井「4回転1本という構成だったが、自分ができることはすべて出し切れた。ショート終わって3位に入れると思っていなかった。今はびっくりしている」

――三浦は初の100点超え。SPの100点というのはどういう意味があるか。

「ものすごく厚い壁。99点は出るが、100点となると全要素で決めるだけじゃなく、加点をもぎ取って行かないと届かない。それを鍵山選手、イリア選手、トップの選手は当たり前のようにGOEを積み重ねていく。自分は特にスピンやステップの部分で苦しめられていたけれど、今日は超えられてよかった」

――スケートカナダで、日本勢女子が表彰台を独占した。今日のトップ3独占を受けてどう感じるか。

鍵山「この結果は皆がそれぞれやるべきことを出しきった結果。たっちゃん(壷井)からいい流れを作ってくれて、僕たちもパワーをもらえた。三浦選手からも『流れ作ってよ』と言われたので、僕も頑張ろうと思ってやれました。明日に関しても、皆が100%を尽くして、その結果カナダみたいな表彰台独占が出来たらすごく嬉しい」

三浦「彼(鍵山)は当たり前のように(表彰台に)存在すると思うので、一旦置いておいて。ショートで貯金は作れたと思うんですけど、油断をすると痛い目に合う。明日は明日、今日は今日でいったん忘れて、明日はフリーを一から集中し直して、ベストパフォーマンスできるように。明日もこうしてプレスカンファレンスに生き残れることを祈っています」

壷井「僕を除いて2人はショートの貯金があるのでいったん置いておいて(笑)。日本勢独占のカギは僕にかかっているなという気持ちが凄くあるので、ショート自分の中ではいい演技できましたけど、フリーはまた別の試合が始まると思って、自分ができることを頑張っていきたい」

坂本「壷井選手が3位、嬉しかった」千葉「はっちゃけることができた」

▼女子シングル

――今日の演技を振り返って。

坂本「今日は丁寧に、集中してできた。今の自分のベストの演技だったかなと思う」

千葉「とにかく笑顔ではっちゃけるということができたのと、エレメンツを一つ一つ、体に意識を集中させてできたのでよかった」

青木「今日のショートは最後まで集中を切らさず、ルッツ、ループから決めることができた。回転がちょっと足りなかったので、伸びしろとしてこれからの課題にしていきたい」

――男女シングルともに日本勢がトップ3独占。男子の結果を知ったタイミングと、女子も含めた結果について。

坂本「会場に向かうバスの中で結果を知った。点数だけ把握して、その後に順位、演技を全員分見てきた。一緒に練習してきた壷井選手が3位に食い込んだので、自分の中では一番嬉しかったポイント。最後のガッツポーズで泣きました」

千葉「試合の準備して、バスに乗って『そういえば男子終わったんだった』とジャッジスコアを見て、3選手ともにプロトコルを見て分かる通り、いい感じだったんだと思った。会場の雰囲気とかも良い演技ができる雰囲気になっているに違いないと信じて、6分間練習に踏み込みました」

青木「行きのバスの中で、壷井選手の演技を見て、去年一緒に出させてもらって、悔しい思いをしているのを知っていたので、嬉しい気持ちになった。会場に着いて、鍵山選手を映像で見て、流石だなという気持ちに。会場の雰囲気も全体で見たかったので、三浦選手の演技は上(観客席)から見ていた。この歓声や拍手をこれから味わえるんだと、自分を奮い立たせた感じでした」

――スケートアメリカからどうやって挽回したのか。

青木「スケートアメリカでは悔しくて、立て直すことに時間がかかったが、いただいたチャンスがまだあると立て直して、やるべきことをしっかりやろうと練習に取り組んだ。男子を見て、自分もこういう歓声をもらえるように頑張ろうと思った」

(THE ANSWER編集部)