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ニュースのその先を考える記者解説。7日のテーマは「過去最多水準 こどもの自殺」です。厚生労働省担当・今田優衣記者の解説です。【#きっかけ解説】

──先週、政府が自殺対策白書を公表しましたね。

政府の白書によりますと、去年の小中高生の自殺者は513人で、過去最多となったおととしと同じぐらいの多さです。10代の死因で最も多いのは自殺だという深刻な状況です。

こどもの自殺が多くなっている背景はわかっていませんが、私が取材した専門家は、あくまで可能性の一つとして、SNSなどの普及で、本来、目にする必要がないものを見たり、情報が偏ったりして、極端に考えてしまうこどもや、未来に期待できないこどもが増えていると分析していました。

──周りが気がつけるサインはあるのでしょうか?

「基本的に、兆候はない、という前提で考えて」と専門家は指摘しています。こども家庭庁の研究事業の調査では、自殺したこどもの約45パーセントは、直前まで以前と変わらず登校していました。自殺予防対策に取り組むNPO法人ライフリンクは「誰がいつ自殺しても不思議ではない」としています。

──そうならないために何かできることはないのでしょうか?

何か一つで解決とはなりませんが、まずはこどもが「話をできるか」が重要だといいます。

実は、新型コロナの影響をうけた2020年の女の子の自殺は、前の年の1.6倍以上と大きく増えました。専門家は、感染拡大防止で例えば、放課後や給食の時などに友達、先生と話す機会が減ったことで、悩みなどを一人で抱える子が増えた可能性もあると分析しています。

つまり、自殺を防ぐためにも、こどもが話をしやすい、話を聴いてもらえるような関係を、日頃から作ることが重要だということです。

こどもの電話相談などをうけるNPO法人チャイルドライン支援センターによると、相談の動機は「話を聴いてほしい」が8割ほど、「答えが欲しい」は2割以下でした。

「『がんばったね』と言われたかった。自分を認めてくれる人が隣にいてほしい」といった声もありました。

専門家は、自殺したいほどつらい気持ちを受け止める、寄り添うことが何よりも大切だ、としています。また、「大丈夫?」といったYESかNOで答える質問ではなく、「最近どう?」といった聞き方もよいということです。

──今田記者は、小学校や幼稚園の教員免許も持っていますが、このニュースで、一番知ってほしいことは何でしょうか?

「話を聴き、気持ちを受け止める」です。こどもの思いはそれぞれ異なります。だからこそ、専門家が述べていた、とにかく「話を聴く」ことが、その子の不安に寄り添い、理解するうえでとても大切なのだと感じました。