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 ◇ワールドシリーズ第1戦 ドジャース6―3ヤンキース(2024年10月25日 ロサンゼルス)

 【ヤナギタイムズ】日本ハム時代の13年12月から大谷を本格取材し、TBS系情報番組「ひるおび」、「ゴゴスマ」などに随時出演する本紙MLB担当・柳原直之記者の連載コラム「ヤナギタイムズ」。今回はWS初出場を迎え、いつもとは違う姿を見せた大谷をレポートした。

 韓国ソウルでの開幕戦を除き、今季初めてグラウンドでの調整となるダッシュを繰り返した前夜。一夜明けて、WS初出場を直前に控えたこの日の大谷も普段と様子が違った。

 試合前のキャッチボールを初めてキャッチャーミットで行ったと思えば、終了後はボールを握ったまま、スタンドのファンに向かって右手を何度も突き上げ「エイエイオー」。観客をあおってからスタンドにボールを投げ入れる姿は、日本ハム時代も含めた取材歴11年で、記憶にない。

 スタメン発表では誤って先に控え組とともにグラウンドに並ぼうとして球団広報や山本にイジられる場面も。前日会見では「独特な雰囲気の中でどれだけ冷静に自分の打席を送れるか。そこが一番難しい」と語っていたように、自身初のWSに興奮を抑えきれない様子が伝わってきた。

 大谷にとって興奮することは決して悪いことではない。侍ジャパンを世界一に導いた23年3月のWBCでは見たことがないようなハイテンションでチームを鼓舞し、自身も結果を残した。ヒーローインタビューなどで「まだまだ声援が足りない。もっともっと大きい声援をよろしくお願いします」とファンをあおり、淡々と受け答えをする普段とは対照的な姿に驚かされた。

 この日も8回に同点につながる二塁打を放ち、敵失の間に進塁した三塁ベース上でナインを鼓舞する姿が印象的だった。これまでも大一番ではファンの熱気と比例するように素直に感情を表現し、想像を超える結果を残してきた大谷。世界一へのフラグは立った。