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 ◇ワールドシリーズ第1戦 ドジャース6―3ヤンキース(2024年10月25日 ロサンゼルス)

 第120回ワールドシリーズ(WS、7回戦制)が25日(日本時間26日)に開幕し、ドジャースは「1番・DH」で出場した大谷翔平投手(30)が1点を追う8回にWS初安打の右越え二塁打で同点劇を演出。延長10回はフレディ・フリーマン内野手(35)がWS史上初の逆転サヨナラ満塁弾を放った。1981年以来、43年ぶりとなるヤンキースとの東西名門球団による頂上決戦で先勝。20年以来4年ぶりの世界一へ、好発進した。

 ドジャースタジアムを埋めた5万2394人が感情を解放した。球場が揺れるような大歓声。大谷も絶叫しながら三塁ベンチを飛び出した。延長10回にWS史上初の逆転サヨナラ満塁弾を放ったフリーマンを迎え入れるため本塁付近へ。歓喜の輪の一員で何度も跳びはね、笑顔がはじけた。

 「最高の本塁打で、最高の勝利を1戦目に持ってこられた。投手陣も含め、素晴らしい勝ち方だったと思う」

 直前の1死一、二塁で左邪飛。自身の一発で決めることはできなかったが、フェンス際の打球を捕球した左翼バードゥーゴが勢い余って観客席に飛び込み、ボールデッドで両走者が進塁した。

 続くベッツの申告敬遠後にフリーマンがサヨナラ弾。ポストシーズン(PS)ではレギュラーシーズンのようなタイブレークはなく「(10回は1死走者なしから)ギャビン(ラックス)の四球から本当につなぐ形で初戦、良い形で勝てた」と珍しく興奮で声を上ずらせた。

 劇的な結末を呼び込んだのは大谷だ。6回までの3打席は凡退。1点ビハインドで重い空気が漂っていた8回1死で、3番手右腕ケンリーのチェンジアップを捉え、右翼フェンス上部にぶち当てた。自身WS初安打は打球速度113.9マイル(約183キロ)。フェンス直撃までたった3.85秒の“爆速二塁打”だった。

 米データサイト「ベースボール・サバント」によれば敵地ヤンキースタジアムなら本塁打。右翼手の悪送球の間に三塁に達し「カモン!」と両手をベンチに向かって振り上げた。世界一を奪還した23年WBCや今PSで連発するパフォーマンスでナインのハートに火を付け「良い打席だった。1死で三塁まで来られたのは大きかった」と振り返った。

 東西の名門対決となったヤンキースとの頂上決戦で先勝し「両先発(ド軍フラーティ、ヤ軍コール)ともに素晴らしい立ち上がりから、最後、(勝利を)持ってくることができた」と手応えをにじませる。26日(日本時間27日)の第2戦は山本が先発。「この流れを明日に持っていけるように、また頑張りたい」と気を引き締める。

 昨季まで6年間所属したエンゼルスからド軍に移籍し、幼い頃から夢見てきた舞台にたどり着いた大谷。自身初、チームでは20年以来、4年ぶりの世界一まであと3勝。見据えるのは頂点だけだ。(柳原 直之)

 ≪先勝で世界一確率79%≫ドジャースが第1戦で先勝。過去7回戦制のPSで、初戦に勝利したチームは191度のうち125度もシリーズを制している。確率は65%。WSでは95年以降、初戦に勝利の29チームのうち23チームが世界一になっており確率は79%だ。また、2―3―2の試合形式のPSで本拠地での第1戦に勝った場合、過去101度のうち68チームが勝利して確率は67%。