この記事をまとめると

■灯火類にはドライバーが自分の意志を外部に伝えるための独特な使い方がある

■危険を知らせるためのハザードやパッシングによる意思表示が代表的

■意思が伝わらないこともあるだけに使い方に気をつける必要がある

街で見かける灯火類による意思疎通の意味

 日々、クルマを運転していると、いつの間にか使っている(相手が使っている)意思表示があります。たとえば「サンキューハザード」のように、かなりの確率で発信者の意図が伝わる合図から、ひょっとしたらごく限られた地域でのみ通じるローカルルールまで……。実際どうなのか? 某ニュース番組のコーナー名を借りるなら「異論・反論オブジェクション!」してみましょう。

●高速道路で前方車がハザード(前方で渋滞が発生中)

 高速道路などで、前方を走るクルマがハザードを点灯。それに合わせるように自分のクルマでもハザードを点灯。すると後続車も続々と……。こんな場面に遭遇したことがある方も多いはず。

 これは後続車に「この先、渋滞しているよ」と注意を促す合図です。高速道路にある電光掲示板でもこの合図の使用を促す表示をしているので、状況に応じて積極的に使っていきたい合図といえます。

●前方車に向けて右折するときにパッシング(先に右折するよ)

 自分自身が右折待ちの状況で、向こうに対向車が見えるけれどまだ距離がある……。ここで右折するにはちょっと勢いも必要だし、対向車のドライバーによってはイラッとさせてしまうかもしれない。そんなときに使う合図が、1度だけパッシングをして「悪いけど先に右折するよ」と、対向車に意思表示をします。

●夜間、高速道路などで前方のクルマが車線変更のウインカーを出したときにヘッドライトを消す(前に入っていいよ)

 2車線または3車線道路(あるいはそれ以上)を走行中、とくに夜間やトンネルのなかなど、周囲が暗い状況において前方を走るクルマがウインカーを出し、自分が走行している車線に移動しようとしている。しかし、迷っているのかサッと車線変更できない(してくれない)。

 そんなとき、一瞬だけヘッドライトを消し、スモールの状態にして「前に入っていいよ」という意思表示をする。タクシーやトラックといったプロドライバーがこの合図をしている光景を見かけることがしばしばあります。明確なルールがないだけに、一部のプロドライバー間で通じる意思表示なのかもしれません。

必ずしも全員に伝わるわけではないので注意が必要

●一般道で対向車がパッシング(対向車が多いなかハイビームで走行中&進路でねずみ取り中)

 夜間に運転していて、やたら対向車からパッシングされた経験はありませんか? 「オレ(私)のクルマ、何かやらかしているのかな……あっ、ハイビームだった!」とそこで気づいてあわててロービームに。

 あるいは、夜間だけでなく日中においても、対向車がまれにパッシングしてくる。これ何の意味!? と思ってそのまま走っていると、速度オーバーや一時停止確認のねずみ取り会場だった……。そんな経験はありませんか?

●道を譲ってくれたらサンキューハザード&車線変更したら「割り込んでごめんハザード」

 道を譲ってくれた後続車にお礼の意思表示を伝えるべくサンキューハザード。なかには頑なにこの動作を拒む人もいるようですが、わざわざ道を譲ってくれた相手に何のお礼もなく走るのはさすがに気が引けます。

 また、最近はバイパスや高速道路など、2車線・3車線(あるいはそれ以上)の道路で車線変更をしたとき、ひとまず後続車に向けて「割り込んでごめんハザード」を使うドライバーが増えたように感じます。そういえば筆者もいつの間にか使っています。

まとめ:「ア・イ・シ・テ・ル」のサインはブレーキランプ何回点滅?

 ドリカムことDREAMS COME TRUEの名曲「未来予想図 II」。この曲の歌詞にある「いつもブレーキランプ 5回点滅 ア・イ・シ・テ・ル のサイン」。当時、リア充だった若者(この時代に「リア充」なんて表現はありませんでしたが)のなかで、別れ際にブレーキを5回点滅させた人もいたはずです。後続車がいたらちょっとイラッとしてしまいそうですね。

 ちなみに、この曲のリリースは1989年11月22日とのこと。なんと35年前の曲です。当時ハタチで「ア・イ・シ・テ・ル のサイン」をした世代の人たちも、気づけばアラフィフ。否が応でも時の流れを感じますね……。当時思い描いた「未来予想図」が現在だとして、どうでしょう。歌詞にあるとおり「ほら 思ったとおりにかなえられてく……」だったでしょうか。

 それはさておき、この種のルールは、こちらがよかれと思っても伝わらないこともしばしばあるだけに、使い方に気をつける必要があります。その反面「高速道路などで渋滞時にハザード点灯」は、事故を防ぐ意味で積極的に活用していきたいところです。