“友人”の「指導力」に森保監督も脱帽？ 日本が虚を突かれた「想定外」…ライバル復活の兆し
森保監督がポポヴィッチ監督について試合後に言及
日本代表は10月15日に埼玉スタジアムで2026年北中米共催ワールドカップ（W杯）のアジア最終予選、オーストラリア戦に臨み1-1で引き分けた。
森保一監督はサンフレッチェ広島時代のチームメートでもある、オーストラリア代表のトニー・ポポヴィッチ監督を「指導力の素晴らしさが今日のオーストラリアの戦いに出ていたと思う」と称えた。
オーストラリアはこの最終予選を2戦未勝利でスタートし、グラハム・アーノルド監督を解任。後任としてポポヴィッチ監督が就任し、10月シリーズでは中国に3-1で勝利して日本に乗り込んできた。この日の試合では高速道路の事故渋滞に巻き込まれて到着が遅れるアクシデントがありながら、規律の取れた戦いぶりを見せた。試合を全体的に見れば日本が押し込む時間帯も長かったが、中央が堅固な5バックをベースにしたオーストラリアは日本の攻撃をかなり跳ね返した。互いにオウンゴールの1点ずつでの痛み分けになった
両監督は現役時代に広島でチームメートとして過ごし、指導者になってからは森保監督が広島の監督を退任したあとに、ウェスタンシドニー・ワンダラーズの指揮を取っていたポポヴィッチ監督を訪れて2週間ほど指導を学んだ間柄。それだけに前日会見から両者が互いをリスペクトしていることを話していた。
この日のオーストラリアは中国戦からスタメン6人を入れ替えた。森保監督は「サブの選手を使ってきたという部分では、スタートのところは想定外のところもあった」と認めていた。
また、森保監督は「素晴らしいなと思ったのは、準備期間が非常に短いなかでも彼が個々の力を最大に引き出しながら組織として戦うこと、今回の試合なら守備を重点的に強固に戦うことをこの期間で選手たちに徹底できる指導力の素晴らしさが今日のオーストラリアの戦いに出ていたと思う。どんな戦いをするか試合前は分からなかったが、選手たちがチームとして機能するために強烈に厳しい指導をしてやることが今日の試合に反映されたと思うし、友人としても監督としても彼の素晴らしさをリスペクトしている」と話した。
オーストラリアを復活させたポポヴィッチ監督は「今日はアジア最強の日本に立ち向かうことが大きなモチベーションだったが、素晴らしい試合をしたことに満足せずに改善すべきことをするのが大事。今日の試合が選手に大きな自信をもたらしていればいい。地道に基礎を作り上げ、11月の試合で良い結果を出したい」として、「今回の期間は素晴らしかった」と就任直後の2試合となった10月シリーズを総括していた。
この最終予選において、C組ではサウジアラビアとオーストラリアが2位以内を争うライバルになると見込まれていた。オーストラリアの出遅れは日本が首位で抜け出している現状にはプラスに働いたが、予選の後半に向け日本に縁のある監督に率いられたライバルが復活の兆しを見せたと言えそうだ。（轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada）
