1年で電撃退団の今江敏晃監督が残した「功績」 2桁勝利の左腕、防御率1.75のリリーフ、32盗塁の外野手

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1年での退任となった今江監督。この人事には様々な意見が寄せられている(C)産経新聞社

 楽天は10月11日、今江敏晃監督が今季限りで退任することを発表した。交流戦初優勝に導き、最終的には4位に終わったがシーズン終盤までCS争いを広げた。賛否を呼んでいる今回の退任劇ではあるが、いずれにせよ今江監督の“功績”は間違いなく存在する。

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 まず藤井聖を先発投手として一人立ちさせたことは、今江監督の功績と言って差し支えない。4年目の28歳左腕は今季11勝5敗、防御率2.93を記録。自身初の2桁勝利をマークして、先発ローテーションの1人として安定した投球を続けた。

 登板した22試合すべてで先発し、投球回は126回。1試合平均6回を下回るため、長いイニングを投げれなかったことは課題ではある。それでも、岸孝之や田中将大、辛島航など先発投手陣の高齢化が懸念されていたチーム事情を考えると、藤井のポテンシャルを見出して1年間起用したことは大きい。来季は、同じく11勝した早川隆久との2枚看板としての活躍が期待される。

 次は今季から完全にリリーフとして起用されるようになった藤平尚真。この配置転換が藤平の能力を開花させた。47試合に登板して防御率1.75という数字。特にストレートの走りが良く、要所で三振を奪うシーンが目立った。奪三振率も11.27と昨季(7.46)よりも飛躍的に向上。藤平のリリーフとしての適性を見い出し、日本を代表するリリーバーに成長させたことも今江監督の功績と言える。

 野手で言えば小郷裕哉もその1人だ。今季は12球団唯一の全試合フル出場を達成。8月に月間打率.187と調子を著しく落としたが、年間を通してみれば安定して結果を出した。

 また、小郷が光った部分としては盗塁数も挙げられる。昨季(13盗塁)を大幅に上回るリーグ2位の32盗塁をマークした。盗塁死も昨季は8つだったが、今季は5つに減り、盗塁技術を大きく伸ばした。12球団唯一のフルイニング出場を達成して、リーグ2位の盗塁を決めたことは、小郷の自信になったはずだ。それも小郷を使い続けた今江監督の辛抱強さが背景にある。

 今江監督のもとで花開いた選手を、三木肇新監督がどのように起用していくのか楽しみにしたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]