川崎でついに覚醒…「来るべき時は来る」 技巧派“77番”、中盤でようやく開花した才能
MF山本悠樹が町田戦で2得点に関与、今季新加入の技巧派が存在感示す
川崎フロンターレは10月5日、J1リーグ第33節でFC町田ゼルビアと対戦し、アウェーで4-1と勝利した。
今季は自慢の攻撃力が鳴りを潜める時期もあったなかで、前節のアルビレックス新潟戦(5-1)に続き、完勝劇を演じてみせた。直近の2試合では26歳のMF山本悠樹が得点に絡む働きを見せており、今季新加入の技巧派が中盤でその才能を開花させつつある。
雨が降りしきるピッチで、川崎が強さを際立たせた。1点を追う前半28分、敵陣左サイドへ展開したボールをFWマルシーニョが受け、そのまま前進。インナーラップしたDF三浦颯太にボールを預けると、三浦はファーサイドへ豪快な一撃を突き刺す。この一連のプレーを生み出す起点となるパスを出したのは、山本だった。
「マルちゃん(マルシーニョ)がずっと外で貼って仕掛けたいから見といてみたいな感じは、(三浦)颯太にもこっちにも伝えてきていたのでいい形で仕掛けられたと思います。あそこで颯太がギア上げられたり、マルちゃんがギア上げられる。攻撃の怖さも上がっていると思うので、そこがうまく引き出せたと思いますし、その得点に絡んだ2人が素晴らしかったかなと」
山本はマルシーニョと三浦の働きぶりをこう称えた。自らのパスに関しては「なんかちょっとこぼれてきて」とあっさりと話をかわしていたが、ボールを受けそこから正確なパスを左サイドへ届けるまでの判断は絶妙だった。パスを出すタイミングが一歩でも遅れていればこの得点が生まれていなかった可能性もあったからだ。
3-1とリードして迎えた後半26分の4点目に関しても、GK谷晃生のパントキックを拾って、そこから左サイド内側を駆け上がった三浦へ配給したパスからマルシーニョによる4点目が生まれた。7試合ぶりに先発へ抜擢を受けた前節の新潟戦では1アシストを記録。続く町田戦では2得点に絡み、印象的な活躍を続けている。
本人も手応えを掴みつつある。攻撃の局面で存在感が際立つようになった要因について、山本は「一緒にやるのが(河原)創とか(橘田)健人が多いので、うしろでバランスを取ってくれている。今日だったら創が特にバランス取りながらやってくれる分、(ゴール前まで)行きやすかったりはする。そのあたりが噛み合ってる感じはする」と頷く。
昨年12月に川崎への完全移籍が決定。加入当初はなかなかインパクトを残せず、定位置確保に至らない時期もあった。悔しさを噛みしめつつも「腐らないというか、自分のやるべきこと、やらないといけないことを整理しながら、来るべき時は来ると思っていた」と不貞腐れず、チャンスを待ち続けたことが今につながった。
10月1日のAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)リーグステージ第2節光州FC(韓国)と合わせて、公式戦3試合連続のスタメンとなった山本。「さすがにきついと思ってましたけど」と笑って見せた背番号77への信頼は日に日に増しつつある。圧倒的な攻撃力を取り戻しつつある川崎において、さらなる躍動へ期待が膨らむばかりだ。(FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)