関連画像

写真拡大

1966年に静岡県で発生した一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さんの裁判のやり直しで静岡地裁が無罪を言い渡したことを受け、袴田さんを支援してきた日本プロボクシング協会の関係者らが10月3日、東京高検を訪れ、控訴を断念するよう求める要望書を渡した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●拳に白のバンデージ「一刻も早いゴングを」

東京高検に要請したのはボクシングの元世界チャンピオンら関係者38人。

要請書で「死刑執行の恐怖の中で過ごす日々は袴田さんの精神を蝕みました」「万が一にも、検察が控訴をおこない、結果として裁判をさらに長引かせることがあれば、それは到底理解しがたく、人道的な見地からも許されるものではない」などと指摘し、「一刻も早く試合終了のゴングが打ち鳴らされ、袴田さんの損なわれ続けた名誉が回復されることを心より願い、今回の要請といたします」と求めた。

要請活動の参加者たちは、白いバンデージを手に巻いて、袴田さんの潔白をアピールした。

●ボクサーへの偏見を払拭へ

要請後に記者会見を開いた日本プロボクシング協会・袴田巌支援委員会委員長の新田渉世さんは、「(袴田さんの)真の自由を獲得するために活動してきた。何がなんでも控訴を断念してもらいたい」と強調した。

また、事件当時、「ボクサーくずれ」という偏見が影響して袴田さんが犯人とされた経緯に触れ、「依然としてボクシングをする人は暴力的で反社会的なイメージを持たれているが、決してそうではなく、我々が正々堂々とルールに則って闘っているということを世の中の人たちには改めて強く訴えていきたい」と話した。