「何も残さない」と言っていた祖母が急逝。銀行口座に「2000円」の残金があったのですが、引き出すには手続きが必要なのでしょうか?

写真拡大 (全2枚)

両親や祖父母などが亡くなると「相続」について確認する必要があります。 しかし、生前本人から「残す遺産はない」と伝えられているケースもあるでしょう。そのような場合、本人の銀行口座に少額のお金が残されていたら、どう対処すべきなのでしょうか。 亡くなった人の銀行口座からすぐにお金を引き出すことは可能なのか、残高が少額の場合は放置しても問題ないのかなどについては、事前に確認しておいた方がいいでしょう。 本記事では、亡くなった人の銀行口座から少額のお金を引き出す方法についても詳しく解説します。

亡くなった人の銀行口座はどうなるのか?

亡くなった人の銀行口座は、凍結されてしまいます。そうなるとすべての取引ができなくなるため、お金はおろせなくなります。
名義人が死亡した情報が自動的に銀行に伝わるわけではないので、死亡後すぐに凍結されることはないでしょう。通常は、親族などが銀行に名義人が死亡した旨を連絡することで利用が停止される流れです。
では「その前にお金をおろしてしまえばいい」と思われるかもしれませんが、亡くなった名義人の口座は相続の対象になる可能性があるため、相続トラブルなどを防ぐためにも、凍結前に勝手にお金をおろすのは控えた方がいいでしょう。
ただし、民法第909条2項には「遺産の分割前における預貯金債権の行使」の定めがあります。当面の生計費や葬式の費用などが必要な場合は、仮払制度を利用して一定の金額の払い戻しが認められることがあるようです。
しかし、今回の事例では口座の残高がわずか「2000円」ということなので、この制度を利用することはないでしょう。
 

残高が2000円の場合、亡くなった人の銀行口座は放置してもいい?

今回の事例のように、亡くなった人の銀行口座に少額しかお金が入っていない場合だと、手続きが面倒に感じてそのまま放置してしまうこともあるかもしれません。
亡くなった人の銀行口座を放置した場合、休眠預金になる可能性があります。休眠預金とは長い間取引のない預金のことで、入出金の取引から10年以上移動がない場合が対象です。
このような口座は預金保険機構が管理することになり、預金を払い戻す際に複雑な手続きが必要になってしまいます。また、銀行によっては一定期間以上預け入れや払い戻しがない口座について、管理手数料が発生する場合もあるようです。
 

亡くなった人の銀行口座からお金を引き出す方法は?

相続手続きを行うことで、亡くなった人の銀行口座に残されていたお金を払い戻すことが可能です。手続き方法は銀行によるため、確認しておくといいでしょう。
ただし、今回の事例のように銀行口座に残っていた2000円以外に残されたものが何もない場合は、相続手続きを行う必要はないかもしれません。その場合は、相続人に該当する人全員の同意を得たうえで、口座を解約しましょう。口座を解約すれば凍結が解除され、預金が払い戻されます。
 

亡くなった人の銀行口座からお金を引き出すには相続手続きや口座解約手続きが必要

人が亡くなると、その人が名義人になっている銀行口座は凍結され、お金を引き出すことができなくなります。
今回の事例のように「銀行口座に2000円残っている」という場合だと、そのまま口座を放置してしまうこともあるかもしれません。しかし、口座を放置したままにしておくと管理手数料が発生する可能性もあるため、できれば引き出してしまった方が安心でしょう。
亡くなった人の銀行口座からお金を引き出すには、口座を解約したり、相続手続きを行ったりするなど、凍結を解除する方法があります。それぞれの方法について、詳しく確認しておくといいでしょう。
 

出典

デジタル庁 e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第五編 第三節 遺産の分割相続 (遺産の分割前における預貯金債権の行使)第九百九条の二
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー