子育ては、思いも寄らないことの連続。子どもに向き合う保護者の数だけ、多彩なストーリーがあります。誰かの経験が、別の誰かの背中をそっと押すこともあるかもしれません。

今回は、自分はならないと思っていた「上の子可愛くない症候群」の訪れにとまどいつつ、自分なりの工夫で6歳差のきょうだいに向き合う現役保育士・しょうこさん(ペンネーム)のエピソードを、ご本人がつづったnoteからご紹介します。

※以下、ご本人承諾のうえ、投稿内容をもとにご紹介いたします。

※写真はイメージです

この記事のポイント

「上の子可愛くない症候群」には絶対ならない自信があった 可愛くないわけではないけれど 上の子の心を満たすには? 型にはめずに子どもに向き合う

「上の子可愛くない症候群」には絶対ならない自信があった

「上の子可愛くない症候群」とは、下の子の出産後に、上の子がかわいいと思えなくなってしまう現象のこと。下の子に手がかかる中で、上の子の赤ちゃん返りや、イヤイヤ期などの反抗期が重なることなどが原因に挙げられます。

現役保育士でもあるしょうこさんは「上の子可愛くない症候群」について、知ってはいたものの、心のどこかで自分はならない自信があったといいます。2人目を妊娠する以前には、受け持つクラスの保護者から「私、上の子可愛くない症候群かもしれません」と相談を受けたこともあったとか。

「『毎日怒ってばっかで嫌になります』と悩んでいらっしゃいました。保育者として、ママの日々の頑張りと葛藤に共感し、とにかく話を聞くことに徹しましたが、私自身は2人目を妊娠する前のこと。こんな風になるんだと学ばせていただきながらも、心のどこかで、私は大丈夫と思っていました」

(しょうこさんの投稿より *一部編集)

可愛くないわけではないけれど

上の子を可愛くないと思ってしまうなんてこと、自分の身には起こらないはず。そう思っていたしょうこさんですが、6歳差育児に追われる中で「あ、これが上の子を可愛くないと思ってしまう心のモヤモヤ感ね」という実感を覚えるようになったといいます。

「決して、可愛くないわけではないんです。ただ『えー!なんで今それー?』『え?わざと怒られようとしてる?』という感じでイラッとポイントが溜まっていくんです。そのうえ、上の子は6歳ですから、お口も少し達者なわけで(笑)。つい、イラッとポイントが溢れてしまう……という感じです」

(しょうこさんの投稿より *一部編集)

イラッとポイントをあふれさせてはいたものの、上の子の気持ちに思いをはせるようにはしていたというしょうこさん。上の子が自分に注意を向けてほしくて「ママ! 見て!」とアピールしていることを理解していました。

「ママに見て欲しいよね。だってたくさん頑張ってくれてるもんねと必死に思うようにしていました」

(しょうこさんの投稿より *一部編集)

上の子の言動にイラ立ちを覚えてしまうことはある。でも、その裏側にある気持ちに寄り添おうと必死に努めてはいる。だからこそ、「『上の子可愛くない症候群』というわけではない」との自負があったといいます。

※写真はイメージです

上の子の心を満たすには?

上の子の心を満たしてあげることが大切。そう考えたしょうこさんは、できるだけスキンシップをしたり、会話をしたり、小さなことをたくさんほめたりするように心がけているとか。

「もちろん、怒っちゃうこともありますが、できるだけ手があいたすきにスキンシップをしたり、「今日は学校どうだったの?」と話をしたり、小さなことをたくさん褒めたり。
毎日絶対何かしら褒めていますし、下の子が泣いてても、あえて上の子とハグの時間をとり、わざと声に出して『今はお姉ちゃんの時間だからね、待っててね』と言います。この、声に出してっていうのが、個人的ポイントです」

(しょうこさんの投稿より *一部編集)

「細々とポイント稼ぎをしています」と冗談めかして言うしょうこさんですが、その効果は絶大。上の子が満たされていくのが目に見えてわかるといいます。1日の終わりの気分も変わるんだとか。

「寝顔を見て『あー今日もたくさん怒ってしまった』と、悲しむのではなく、『明日もたくさんポイント稼がせていただきます』とニヤニヤしています。結構楽しいですよ」

(しょうこさんの投稿より *一部編集)

型にはめずに子どもに向き合う

ときに失敗しながらも、子どもに向き合い、自分なりの対応策できょうだい育児をする中で、育児にまつわる《あるある》な状態を表す「わかりやすいワード」に潜むリスクに気付くようになったというしょうこさん。
「上の子可愛くない症候群」のように覚えやすいワードが先行することで、すぐにその型にはめようとする傾向があるのではないかと指摘します。

「イヤイヤ期、赤ちゃん返り、4歳の壁など、端的に分かりやすい言葉があると、指標となり『これがウワサの...!!』と分かりやすいですが、全部が全部そうじゃない。上の子可愛くないって思うと、本当に可愛くないって思っちゃうから。本当はそうじゃないのに。

言葉があると、そこに落ち着いて安心してしまいますが『上の子可愛くない症候群』だから怒っちゃうのはしょうがない、というわけじゃないですよね」

(しょうこさんの投稿より *一部編集)

キャッチーな言葉が表す型にはめることは安心材料にはなるものの、子ども自身に向き合うことがおろそかにもなりかねません。上の子に手を焼いている中で「上の子可愛くない症候群」という言葉で割り切ってしまうと、可愛くないと思っているわけではないのに、可愛くないと思うようになってしまう危険性も考えられます。

「だからわたしは気持ちを強くもって、上の子も下の子も同じだけ大好きを毎日伝えていけるよう意識しています」

(しょうこさんの投稿より *一部編集)

今の対策が通用しなくなったら「そしたらそこでまた考えていこうかなと思います」と大らかに構えているしょうこさん。マニュアル的ではなく、出合う状況に臨機応変に対応していこうとする姿に、しなやかな頼もしさを感じます。

子育ての《あるある》やセオリー、常識などはたくさんあるもの。それが助けになる場面も少なくないものの、縛られすぎたり、単純に当てはめたりすることで見落としてしまうものも少なくないでしょう。目の前の子どもに向き合って、自分たちなりのやり方を手探りで見つけていく。当たり前なようでいてつい忘れがちな方法が、保護者も子どももハッピーにすることを改めて実感させられます。

●ご紹介した記事
「上の子可愛くない症候群。」
https://note.com/hoiku_kosodate/n/n0f89667a45c1

●元記事の著者プロフィール

しょうこ@新しい働き方を目指す保育士ママ

幼稚園教諭・保育士 資格取得10年、現役6年目保育士(現在2人目育休中) │チャイルドコーチングの資格取得のため勉強中│2年後子育て・保育専門のコーチとしての働き方にシフトチェンジを目指す30代