株式会社フォーステックが東京・表参道沿いの歩道に34台設置、提供しているIoTスマートゴミ箱「SmaGO」(スマゴ)。描かれたアートは⽇本特殊陶業株式会社と株式会社ヘラルボニ―の⽀援、連携で実施した「スマートアクションプロジェクト」によるもの

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先日タイ人の女性と会話した際に「街中のゴミ箱が少ないにも関わらず、道路が清潔である」と日本の街並みについて驚いていた。タイではゴミ箱が置いてあっても利用せず、なぜかその周辺にゴミを捨てる人が多くて清潔ではないというのだ。

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日本でもかつては街中にゴミ箱が設置されていたが、1995年に起こった地下鉄サリン事件をきっかけに、テロ対策として多くのゴミ箱が撤去されている。それでも街にゴミが溢れないのは、ゴミは自宅やオフィスに持ち帰ることが推奨され、多くの人がそれを守っていることが理由のひとつだろう。

それでも近年では、数少ないゴミ箱の周辺がプラスティック容器やペットボトル、缶などで溢れかえっていることがある。対策としてゴミ箱を増設するにしても、管理コストが上がってしまうため、すぐに実現できるわけではない。

そこで、管理コストを上げずにゴミ箱を設置する方法として注目されているのが「スマートゴミ箱」だ。株式会社Forcetecが販売・設置するスマートゴミ箱「SmaGO」は、太陽光発電機能や圧縮機能を搭載した最新のゴミ箱。ゴミ箱上部のソーラーパネルを使って発電した電力を使って稼働している。

このゴミ箱は、ゴミが溜まってくるとセンサーが反応し、中のゴミを圧縮するのだ。圧縮した結果、ゴミの体積は約6分の1にまで小さくなるため、通常のごみ箱よりも多くのゴミを収容できる。さらに溜まったゴミの量は、スマホやパソコンでリアルタイムに監視ができるため、回収の手間も最小限に抑えることが可能だ。

「SmaGO」の特徴のひとつとして、色彩豊かなデザインがある。ゴミ箱といえば地味なデザインで、目立たない所に設置されることが多かったが、「SmaGO」はむしろ目立つように設置されている。目立つデザインには理由があり、実は「SmaGO」は広告メディアという側面ももっている。「SmaGO」の環境活動に協賛してくれる企業や団体の広告をデザインとして活用し、ゴミ箱なのに広告収益もあげられる斬新な仕組みなのだ。

新型コロナの影響も治まり、外国人観光客も街中で多く見られるようになってきた。日本のゴミ箱事情を知らない外国人たちは、日本人のようにゴミを持ち帰る文化を持っていない場合もあるだろう。綺麗な街並みを保ちながら、日本のゴミ事情に詳しくない外国人に対応するには、スマートゴミ箱の普及がカギになるのではないか。ゴミ問題に大きく関与するスマートゴミ箱から目が離せない。

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)