性別騒動の女子ボクサーが金メダルで涙 完勝に会場大歓声、世界的議論も表彰式は祝福ムード
パリ五輪
パリ五輪は9日、ボクシング女子66キロ級決勝が行われ、イマネ・ケリフ(アルジェリア)が楊柳(中国)に5-0で判定勝ちし、金メダルを獲得した。大歓声のリング上で満面の笑みを浮かべ、涙した表彰式では祝福ムード。57キロ級のリン・ユーチン(台湾)とともに性別適格性検査に不合格となった過去があり、世界的な議論の対象になっていた。
ケリフが入場すると大声援に包まれた。楊にも拍手。身長178センチ同士の試合は初回、ケリフがサウスポーの相手に圧力をかける展開だった。右ストレートなどを当て、ジャッジ5人全員がケリフに10-9。被弾する場面もあったが、2回も互いの拳が激しく交差し、5人に10-9をつけられた。3回は前に出てくる相手に後退。残り1分でワンツーを被弾した。
終了のゴング直後に相手とハグ。勝利がコールされると、敬礼ポーズを取った。5-0の完勝だ。熱狂の観客に応え、笑顔の相手と握手。涙はなく満面の笑みを浮かべながら陣営に肩車され、場内に勝利をアピールした。表彰式の国歌斉唱で涙。他のメダリストたちも笑みを浮かべ、爽やかに自撮り写真に納まるなど祝福ムードが流れていた。
ケリフとリンは、国際ボクシング協会(IBA)が主催する昨年世界選手権の検査でXY染色体を持つと証明され、出場権を剥奪された。しかし、今大会は出場が認められ、ケリフの初戦を機に世界的論争に。事態を受けた国際オリンピック委員会(IOC)は2人が東京五輪、世界選手権、IBAが認可する大会などに女性として問題なく出場した経歴を強調した。
さらに「彼女たちは突然適正な手続きなく失格させられた」と昨年の出場権剥奪の不当性を指摘。IBAはガバナンス問題などを長年抱え、パリ五輪のボクシング運営を禁止されており、2人は過去の大会と同様にパリ五輪に出場できた。IOCのバッハ会長は「女性として生まれた2人のボクサーがいる。何年もの間、女性として出場してきた。彼女らを女性として疑う余地はない」としていた。
ケリフは4戦全勝で金メダル。リンも銀メダル以上が確定しており、10日の決勝に臨む。
(THE ANSWER編集部)