関連画像

写真拡大

女性2人に同意なく性行為に及んだとして刑事告訴されたサッカー・フランス1部リーグのスタッド・ランスに所属する伊東純也選手が、準強制性交致傷の疑いで大阪地検に書類送検された。また、女性2人も虚偽告訴の疑いで書類送検されている。

報道によると、伊東選手は不起訴の公算が大きいということだが、一般に書類送検を報じるニュースによって「犯罪者扱い」されていると感じる人もいるようだ。そもそも書類送検はどういうものなのか。冨本和男弁護士に聞いた。

●被疑者を逮捕した場合、48時間内に送検する必要がある

警察官が捜査した事件について、起訴するかどうかを判断するのは、検察官の役割です。

そこで、警察官は、事件を捜査した場合、検察官の事件処理のために速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送るのが原則とされています(刑事訴訟法246条本文)。

その手続きを検察官送致または送検(マスコミ用語)といいます。

警察官は、被疑者を逮捕した場合、48時間内に身柄や書類、証拠物を送検する必要があります(刑事訴訟法203条、211条、216条)。

●嫌疑がない場合も「書類送検」される

一方で、被疑者が逮捕されていない事件では、書類や証拠物だけを検察官に送りますので、一般に「書類送検」と呼ばれています。ちなみに法律用語ではなく、マスコミ用語です。

今回、伊東選手は刑事告訴されていたそうですが、告訴または告発を受けた事件について、警察官は、速やかに書類や証拠物を送検しなければならないとされています(刑事訴訟法242条)。

告訴・告発された事件の場合、民事事件と関わりがあることが多く、捜査の早い段階で、法律の専門家である検察官に関与させる必要があると考えられているためです。

告訴・告発された事件について、警察官は、嫌疑がない場合や嫌疑が不十分で不起訴になるような場合でも、事件を送検しなければならないとされています。

そのため、書類送検されただけで、「実際に犯罪があった」とか「この人が犯人である」とはいえないのです。

【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp