中国・日本人学校のバス待つ母子襲撃を中国メディア報じず…「偶発的」中国外務省遺憾の意を示すも現地日本人に不安

写真拡大

中国の江蘇省蘇州市で、24日に起きた事件。
中国人とみられる男が、バス停にいた日本人の男の子とその母親、さらに中国人女性を刃物で襲ったのです。

中国人女性は日本人親子をかばったとみられていて、病院に運ばれましたが意識不明の重体です。

白昼の街中で3人が襲われるという衝撃の事件ですが、現場周辺の中国人に話を聞くと、「(きのうの事件は?)知らない。(ニュースは?)見たことない」「(きのうの事件は?)知らない、聞いてもいない」と答えました。

実はこの事件、現地では一切報じられていないのです。
どのような理由があるのでしょうか。

中国の蘇州市で24日、日本人学校のバスを待っていた日本人の親子が、中国人とみられる男に刃物で襲われる事件が起きました。

男は、日本人親子2人をかばったとみられる中国人の女性従業員も刺したのです。

襲われた男の子は入院して治療を受けているものの、母親と共に命に別条はないということです。
しかし、従業員の中国人女性は重体となっています。

事件を受け、蘇州の日本人学校は25日、臨時休校になりました。

近くに住む日本人は、「日本人が多く住んでいて、比較的治安がいいところだと思っていたがちょっと心配」と話します。

3人を襲った男は、警察に身柄を確保されました。
しかし、今回の事件について中国SNSで検索をしてみると、日本や海外メディアの記事は確認することができますが、中国の主要メディアでは記事を確認することができません。

当局による情報統制が行われているとみられ、3人を襲った男の動機などが明らかになるのか不明です。

現場近くに住む日本人男性は、「(事件について)下手に中国版のSNSで発信すると、やはりその部分でいろいろ生活に支障が出てくる恐れがあるので、日本人と直接会ったときじゃないと話しづらいなというところはすごく感じる」と話します。

中国では、2週間前にもアメリカ人の大学教員4人らが、55歳の中国人に刃物で刺される事件が起きたばかり。

この事件も発生当初、中国当局は情報を出していませんでした。

神田外語大学・興梠一郎教授は、「対外的には、中国が危ないというイメージを嫌がる。特に今、対中投資が減っていて、中国政府はアメリカや日本とかから投資を呼び込みたいが、こういったことが起きると『中国はリスクが高い』というイメージが強まる」と語ります。

中国外交部は、日本時間25日午後4時頃、今回の事件について遺憾の意を示すとともに、「これは偶発事案。中国は世界で認められた最も安全な国の一つだ。(中国が世界で最も安全な国とは何をもって証明するのか?)中国に住んでいるあなたなら、それを感じることができるはずだ」と述べました。

そして25日午後、蘇州市の警察当局は、今回の襲撃事件で52歳の男を現行犯逮捕していたと初めて発表しました。

男は無職で、最近、蘇州に来たばかりだということです。