【レポート】草なぎ剛、囲碁のルールを知らないまま映画『碁盤斬り』で主演!?「(碁石を)置くところだけはわかってる」

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■「香取(慎吾)くんにはやめろって言われるけれど、(ごはんじゃないよって)何回でも言い続けます。」(草なぎ剛)

映画『碁盤斬り』の公開初日舞台挨拶が5月17日、TOHOシネマズ 六本木 スクリーン7で行われ、主演の草なぎ剛(「なぎ」は、弓へんに前+刀が正式表記)、キャストの清原果耶、中川大志、市村正親、國村隼、そして白石和彌監督が登壇した。

映画公開初日の天気は快晴。「天気も味方してくれました。足を運びやすいお天気でうれしいです」と笑顔の草なぎ。続けて「今だから観る意味があるような作品になった気がしています。時代劇は若い方とか足が遠のいているとか小耳に挟んだりもするし、あまり得意じゃない方もいらっしゃるなかで、逆に今、この作品を届けることに意味がある気がしています。テクノロジーが発達している時代だけど、一つひとつの動きやセリフに重みのある、重厚感のある作品に出演できたことを幸せに思っています」と思いを語った。

清原や中川のような若い役者も出演している本作は「ふたりのような若いグルーヴもあって、若い方から年配の方まで。世代問わず楽しんでいただけます」と草なぎはニッコリ。

さらに、市村、國村のほうに視線を向け、「そして、大先輩方もいらっしゃって。(萬屋源兵衛役の)國村さんと(柳田格之進役の)僕とのラブストーリーでもあるので『おっさんずラブ』みたいな感じ?」と説明すると「僕の片思いだけどね」としょんぼりの國村。

そんな國村に優しい笑顔を見せながら草なぎは「僕たちの恋愛物語や、いろいろな感情がある作品なのでたくさんの方に観てほしいです」とおすすめした。

囲碁を打つ場面では、草なぎと國村は敵同士。「囲碁を通じて距離が近づいていく感じがすごく面白いです」と話した草なぎだったが「僕は、囲碁のルールはわからなくて(笑)。(中川)大志くんの(囲碁の)シーンはすごくかっこいい。(清原演じるお絹との)ほのかなラブストーリーもあるし」と中川のシーンの見どころを挙げベタ褒め。

すると中川は「格之進さんは囲碁のルール知らなかったんですか?」と驚きを隠せない様子。「僕は(碁石を)置くところだけはわかってる」と答える草なぎに登壇者の全員が大爆笑。「置くところだけはわかっているふたり」と自身と國村の囲碁の知識を明かした草なぎは「お客さんもルール知らないでしょ? だから、僕はルールがわからなくても没頭できるぞという役作りをしました。お客さんの気持ちに立っての役作りです」と胸を張り、会場を笑いの渦に包んだ。

本作のオープニングは碁盤のアップから始まる。「碁盤もすごいやつ。監督もしゃべって!」と説明を促した草なぎ。

「江戸時代のものを借りました」と明かす白石監督に「すごいものなんだけど、だからなんだって話かな(笑)」と返し、登壇者の笑いは止まらない。そんななか、草なぎは「囲碁のルールの話じゃないから。囲碁をお借りして、人の物語を描いています」と本作のテーマに触れ、「その辺を加味したうえで、宣伝部員の皆さん、周囲への宣伝をよろしくお願いいたします!」と草なぎ節を交えながら会場に呼びかけ、大きな拍手を浴びていた。

切腹しようとする格之進をお絹が止めるシーンには緊張感が溢れており、撮影時の思いを訊かれ、「なんとしてでも止めなきゃ!という思いでした」と振り返った清原。(格之進を演じる)草なぎを隣でずっと見ていたからこそ、「止めたい」という思いが湧き出てきたという。

「叫ぶようなシーンだったのですが、叫びすぎて声を枯らしてしまって。あのときは本当にご迷惑をおかけしました」とお詫びする清原の姿勢に草なぎは「まさに全身全霊。清原さんのエネルギーを感じて、こちらこそ感謝です。思いっきり格之進を演じることができました」と感謝。

草なぎの清原への賛辞は止まらず、「本当にすごいんですよ、清原さん。それに対して格之進。どんな父親だよって思いました。ひどい父親です。客観的にそう思いながら演じていました。もし、止めてもらえなかったらどうなっていたのか。そうなったらあのシーンでストーリーが終わっちゃうから、止めてもらえて本当によかったです」と安堵。

本作は、京都の長屋を使って撮影。切腹には斬り方にも着物の脱ぎ方にも所作がありとても難しいシーンだったと白石監督が振り返ると。草なぎは「撮影は1年前。京都の撮影所で寒かったな」と撮影当時の様子を懐かしそうにしていた。

白石監督作品への出演について市村は「監督の作品は血もたくさん飛び散るし、ちょっとグロいイメージ。お話をいただいたときは、どこで斬られるのかって思っていました(笑)」と斬られるシーンを期待していた模様。「衣装合わせのときに、すごく素敵な柄の着物を着せてもらって、すぐに長兵衛の気分になりました。役者だから衣装ですぐにその気分になる。そして(シーンの)相手役は剛くん。サイコーでした。今後ともよろしく」とペコリ。

演じる際には「長兵衛として格之進を、市村として剛くんをというダブルミーニングの気持ちでした」と解説した市村のコメントに草なぎも「僕も、市村さんが僕を…という思いでやってました!」とお互いに役として、そして本人としての関係性が芝居に反映していたと語る場面もあった。

「忘れてはおらんな」というセリフが印象的というMCの言葉に「そんなシーンあったっけ?」と答えた草なぎに会場は大爆笑。清原と中川が丁寧にそのシーンを小声で解説するも「あったっけ?」とニヤニヤの草なぎは「僕、もう1回観なきゃ」とリピート鑑賞を宣言。

草なぎのこの反応に白石監督は「思い入れが強いシーンです。(斎藤)工くんとあんなことになり、荒ぶった状態で出たセリフです」と補足しつつ、おすすめの瞬間であることをアピール。中川も「あのシーンの撮影は実はスタジオ。ロケじゃないんです!」と興奮気味に話し、“橋”に注目と目を輝かせた。

白石監督が「日本の名作映画と同じ橋を作りました。日本映画のとあるいち場面を作って、そこで草なぎさんにあのセリフを言ってもらって…」という日本映画としても重要なシーンであると補足すると、草なぎは「おいしいところをいただいてしまって、光栄です」とうっかり忘れてしまっていたことに苦笑いしながらも、感謝の言葉を述べた。

清原と中川は撮影の合間もずっと囲碁の練習をしていたそう。「中川さんが本当に強くて。負け戦でした」とがっくりの清原。「アプリなども使って勉強して。たまにルールを知らない草なぎさんがやって来て…」と中川。

草なぎが「美男美女が囲碁をやっている姿は絵になる! 本当にかっこいいんです」と褒めるも、「チラッと覗いて、何も言わずに去って行くだけ」と草なぎの動きを再現しながら大笑いの中川。

草なぎは「若いふたりが囲碁に興味を持ってくれてよかった。僕が最初に(囲碁の)先生に置くところだけでいいから教えてって言っちゃって。先生がしょんぼりしちゃって。ふたりが食いついてくれたから、先生に笑顔が戻って(笑)。ちゃんとしないとダメだなって思いました。ふたりはすごく大人で賢い。僕はすぐ思ったことを言って“あっ”ってなっちゃう(笑)」と反省しながらも、会場を和やかなムードに包み込んだ。

「囲碁のように白黒はっきりさせたいこと」という質問に「世の中、大概のものはグレー。グレーも帳尻合わせには必要。白黒はっきりさせるのは囲碁のなかだけ。(現実では)見たこともない世界が映画に描かれています」と上手に作品をアピールし、胸を張る草なぎ。

格之進のように絶対に譲れないものを訊かれた白石監督は「映画をやってきて、映画に育ててもらった身。映画って楽しいという気持ちは譲れません」と映画人らしいコメントで会場を沸かす。

國村が「僕はいつも譲りっぱなし。なんぼでも譲りますよ」と余裕のムードで話すと、「この懐のデカさが演技につながっている気がします」と反応した草なぎ。

「國村さんは長台詞をさらっと流れるように言うから、もう僕の番だってなる。その焦りで緊迫感が生まれて役に入らせてもらえる。セリフ終わりは白黒わかってないとダメだね。いいこと言ったかな?」とニヤリの草なぎに続き、市村が「納豆は100回かき混ぜ、お醤油を入れる。いい泡になったところでお醤油を入れてそこから50回(かき混ぜる)。それは譲らない」とおもしろコメントで繋げていく。このところ健康に関するコメントが多い草なぎは「腸活にもよさそう! 僕もやろう!」と興味津々だった。

中川は「最近、白黒写真が好き。撮影中もカメラの話で盛り上がり、音尾(琢真)さんが現場に(カメラを)持ってきていて、まんまと口車に乗せられて購入しました。草なぎさんや果耶ちゃん、みんなを撮って。扮装している状態を、セットのなかで白黒写真で撮ると本当にかっこいいんです!」とうれしそうに話した。

「花粉症なんだけど、黄砂かもしれないと言われて。どっちなんだろうって」と白黒させたいことを語った清原に、「京都、辛かったよね」と反応した中川。草なぎも「はっきりさせたいよね、治療法が変わるから」と娘の健康に気遣う優しい父の顔を見せていた。

最後の挨拶で草なぎは「朝早くから観ていただいてありがとうございました」と感謝。続けて「最後のシーンを撮った日のことは鮮明に覚えています。1年以上前に撮った作品をやっとみ皆さんに届けられる。この1年、楽しいこともたくさんあったり、嫌なことも少なからずあったり。この映画に映し出されている僕たちは、もう帰ってこない。あのときの演技も今じゃできない。僕たちが生きていたその瞬間その瞬間を思いっきり詰め込み、みなさんに届けたいという一心で作り上げたものです。今は忘れている古き良き時代のいい魂を映画に込めました。娯楽映画としても楽しめますし、心が穏やかになったり、何か感じていただけるものがあるとうれしいので、どうぞよろしくお願いいたします」と呼びかけた。

そして、会場に集まった宣伝部員に対して「ハッシュタグは碁盤斬りです。ごはんじゃないよ。ごばんだよ。点を入れてね。香取(慎吾)くんにはやめろって言われるけれど、(ごはんじゃないよって)何回でも言い続けます。いっそのこと“ごはんぎり”でもいいけれどね(笑)」とコメントし、最後まで笑いを誘うイベントとなった。

映画『碁盤斬り』は、全国にて絶賛公開中。

映画情報

『碁盤斬り』
全国にて絶賛公開中!
出演:草なぎ剛
清原果耶 中川大志 奥野瑛太 音尾琢真 / 市村正親
立川談慶 中村優子
斎藤工 小泉今日子 / 國村隼
監督:白石和彌
脚本:加藤正人
音楽:阿部海太郎
配給:キノフィルムズ
(C)2024「碁盤斬り」製作委員会

映画『碁盤斬り』作品サイト
https://gobangiri-movie.com