「野球に賭けてごめんなさい」――大谷翔平をからかうも相手にされず、広まる反発…往年の大打者ローズの軽薄言動に抱く寂しさ
大谷をからかうも、反発ばかりが広まっているローズ氏。その言動にあまりにつまらない。(C)Getty Images
往年のレジェンドが現球界で「唯一無二」と称されるスターに放った皮肉は、米メディアでもひんしゅくを買っている。
物議を醸したのは、通算4256安打のメジャー記録を持つ大打者ピート・ローズ氏が、大谷翔平(ドジャース)の現状に対して口にした“ブラックジョーク”だ。
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米メディア『TMZ』など複数メディアによれば、ローズ氏はミネソタ州セントポールで開かれたサイン会に出席。集まった熱心な野球ファンへのサインボールに「野球に賭けてごめん」「オオタニも『ごめん』と悔やんでいる」「俺にも通訳がいれば良かったなあ」と書き記した。
いずれも、大谷の元専属通訳だった水原一平容疑者が、総損失額1億8290万ドル(約279億8370万円)に及ぶ大規模な違法賭博に関与したとして、起訴されたスキャンダルを皮肉ってのメッセージだ。ローズ氏からすれば、場を和ませようとしたジョークのつもりだったのだろう。
しかし、あまりに稚拙でもあった。レッズの監督を務めていた1989年に野球賭博にかかわったとして球界から永久追放を受けた過去を持つローズ氏だけに、先述のスキャンダルにおいて無実が証明されている大谷をおちょくる言動は、野球ファンはもちろん、現地メディアや識者の反感も買っている。
MLBアナリストのオインドリラ・チョードリー氏は「この機会でもローズはオオタニの苦境をからかった。ローズは現役、監督時代に野球賭博をする重大な違反をした。しかし、オオタニはミズハラの賭博や盗みについて何かを知っていたという証拠はない」と指摘。大谷の潔白を強調するとともに、レジェンドの軽薄な言動を切り捨てている。
また、スペイン紙『Marca』のアメリカ版も「その遠慮のないスタイルで知られるローズは、オオタニのスキャンダルに対する関与に懐疑的であることをふたたび表明した」と報道。一連の言動を伝えたうえで、「米連邦捜査局からオオタニは『被害者だ』と認められているにもかかわらず、ローズは事実を認めようとはしない。なぜだろうか」と疑問を投げかけている。
ローズ氏には以前から日本球界に対する“偏見”がある。イチロー氏が日米通算で自らの安打数を抜いた際には、「日本の記録とメジャーを足すことに意味があるのか。高校時代の安打も加えることと同じだ。それなら私のマイナー時代の数字も加えてくれ」などと暴言連発。リスペクトに欠ける姿勢に周囲の反発を招いていた。
こうした背景を考えても、おそらくローズ氏の辛辣発言を大谷本人が意に介することはない。加齢とともに往年の輝きが消えていくレジェンドに対する寂しさは強まるばかりだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]