川口から羽田空港まで乗り換えなし?

今後はJR東日本との基本協定締結を予定

 川口市がJR東日本に対して長らく要望を続けていた「中距離電車の川口駅停車」が実現に向けて前進しそうです。市は2023年2月8日、「川口駅再整備基本計画(案)」を公表。上野東京ラインの停車を目指すことや概算事業費などを明らかにしました。


上野東京ラインなど中距離電車で運用されるE231系(画像:写真AC)。

 川口駅の乗車人員は現在、埼玉県では大宮駅、浦和駅に次ぐ3位となっていますが、停車するのは京浜東北線だけです。そのため、遅延などの発生時には人の流れが滞りやすく、駅前広場デッキまで利用者が溢れる状態になります。
 
 市は2022年3月に「川口駅周辺まちづくりビジョン」を策定。この中で、「鉄道輸送力の増強」の取組例として「中距離電車停車のためのホーム増設」を明記しました。2023年度予算には、ホーム増設などの計画案や事業費概算をJRに委託する費用を計上し、費用の妥当性を検証していく方針を示していました。
 
 公表された「川口駅再整備基本計画(案)」では、湘南新宿ラインではなく、上野東京ラインを停車対象とする方針が盛り込まれました。その理由として、湘南新宿ラインは埼京線と線路を共有している区間があり、更なる増発が難しく、緊急時の代替性が低いためとしています。また、上野東京ラインは2031年度に開業する羽田空港アクセス線「東山手ルート」に直通する予定で、羽田空港へのダイレクトアクセスが可能になることも考慮したといいます。
 
 上野東京ラインのホームは、京浜東北線ホームの西側に建設予定。これに伴い、鉄道用地を西側に拡幅する必要がありますが、市有地の範囲に収まる見込みです。今後は改札口を複数とする可能性も検討していく方針です。概算事業費は、既存デッキの拡幅と屋根の設置を行わない案が389億円、行う案が420億円を想定。ホームの増設に関係する経費は、市が全額負担するとしています。
 
 今後は、JR東日本との基本協定締結を目指し、検討が進められます。新ホームが供用を開始し、上野東京ラインが停車するのは、基本協定の締結から約12年後となる見込みです。