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四国にある天台宗寺院の男性住職から、長期間にわたって、信仰につけこんだ性暴力を受けたなどとして、尼僧の女性が、天台宗宗務庁(滋賀県大津市)に住職らの僧籍を剥奪する懲戒処分を下すよう審理を申し立てた。

申告人の尼僧、叡敦(えいちょう)さんと代理人が1月31日、東京・永田町で記者会見を開いて明らかにした。申告書は1月22日付。

●性行為中に「南無観世音」と唱えさせられた

申告書によると、住職は2009年10月から2023年1月まで、既婚者である叡敦さんの意に反する性暴力や、説教の名の下で侮辱、恫喝を繰り返したという。また、髪の毛を剃って尼僧を装わせるなど、叡敦さんを「心理的監禁状態」に置いたという。

さらには、性行為の間、叡敦さんに「南無観世音」「オンアロリキャソワカ」などの真言を唱えるよう指示したほか、「自分の言葉はお観音様の言葉だと思え」「坊主に逆らうと地獄に落ちるぞ」などと恫喝したという。

●「私が受けた被害が金銭では到底解決されない」

申告書によると、叡敦さんは2015年、女性センターに相談して「洗脳されている」などと指摘された。彼女の親せきで、弟子である住職を紹介した天台宗大僧正に虐待を訴える手紙を出したが、取り合ってもらえなかったという。

叡敦さんは2017年に寺を脱出して、2019年に強姦被害の告訴状を警察に提出したが、住職は嫌疑不十分で不起訴処分となった。その後、住職や大僧正から指示されて寺に戻って「得度」していたが、2023年に家族によって救出されたという。

一度目の脱出後、複雑性PTSDとうつ病の診断を受けて、現在も治療中。住職だけでなく、大僧正の僧籍剥奪も求めている。民事訴訟ではなく懲戒を求めたのは「私が受けた被害が金銭では到底解決されないものだから」としている。

この日の会見で、叡敦さんは「人を諭さなければならないはずの僧侶が、ひとりの人間を14年もの間、見えない牢屋に閉じ込め、人格を破壊し、障害を負わせた罪はとても大きい」と訴えていた。

天台宗宗務庁は、弁護士ドットコムニュースの取材に「対応を協議しており、コメントを申し上げる段階ではない」としている。