犬を保護した団体の弁護団は、元飼い主に精神的損害に対する賠償を求めて訴訟を起こした。原告は虐待を受けていた犬で、ブラジル国内で前例のないケースとなった(画像は『New York Post 2023年12月19日付「Dog successfully sues abusive owner after vicious beating」(CEN)』のスクリーンショット)

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飼い主に棒で叩かれ虐待を受けていた犬が、飼い主を訴えたという驚きのニュースがブラジルより届いた。この犬を保護した動物団体の弁護士が、犬を原告として代わりに訴訟を起こしたのだ。ブラジル国内で初のケースとなったこの訴訟は、動物の権利について関心が集まっている。米ニュースメディア『New York Post』などが報じた。

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事件が発覚したのは今年6月、ブラジル在住のある男が飼い犬を棒で叩きつけ、虐待する様子が防犯カメラに捉えられた。この映像をもとに、動物保護団体「Grupo Fauna de Proteção aos Animais」が虐待されていた犬“トキーニョ(Tokinho)”を保護し、男はのちに逮捕された。

トキーニョのように保護された動物は、動物保護団体でケアを受け、新しい飼い主を探すのが一般的な流れだ。ところが、同動物保護団体の弁護士らはトキーニョを原告とし、代理人として元飼い主に対して訴訟を起こした。裁判所は訴状を受理し、犬が精神的損害に対する賠償を求めて元飼い主と裁判で争うことになった。

ブラジルにおいて、これまでに犬が原告として訴訟を起こした例はないと報じられており、動物の権利を重要視する非常に珍しいケースとなった。

裁判で元飼い主は虐待行為があったことを認め、刑事訴追されない代わりに、2000ブラジルレアル(約5万8000円)の罰金が科された。しかしトキーニョの弁護団は、「被告人はあまりにも簡単に刑事追訴から逃れた」と判決に対して不服である旨を主張しており、今後は控訴する予定だという。

裁判を終えたトキーニョは、ブラジル南部パラナ州ポンタ・グロッサに住む夫婦の家に引き取られた。夫婦はトキーニョの新しい生活の始まりを祝い、「雪の結晶」を意味する“フロキーニョ(Floquinho)”という新たな名前を付けた。

夫婦に引き取られてからしばらくは、虐待によるトラウマの影響か、フロキーニョは怯えた様子を見せていた。夫婦はそんなフロキーニョのために、歓迎パーティーを開くなどして少しずつ距離を縮めていった。夫婦の優しさに触れたフロキーニョは心を開き、今では同居犬の“ミニー(Minnie)”と一緒に、愛情に包まれた生活を送っている。

ちなみに少し前には米カリフォルニア州で、虐待され声を失った闘犬が保護されて愛情を受けて過ごした結果、数年後に初めて吠えて尻尾を振る姿を捉えた動画が公開され、感動を呼んでいた。

画像は『New York Post 2023年12月19日付「Dog successfully sues abusive owner after vicious beating」(CEN)』『juicemorph 2022年10月25日付TikTok』『Corks the Philosopher 2020年6月10日付Instagram「Damn butterfly was too fast!」』『Daily Express 2023年8月14日付「Blind and deaf dog that was left abandoned looked like a ‘pile of rags’ before rescue」(Image: RSPCA/SWNS)』『Maggie the Wonder Dog 2021年8月24日付Instagram「A blonde babe on the beach」』『Anne Ashmore 2021年7月2日付Facebook「Adorable Angus living his best life!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)